内容説明
少年ジョニーの人生はある事件を境に一変した。優しい両親と瓜二つのふたごの妹アリッサと平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。事件後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように…。少年の家族は完全に崩壊した。だが彼はくじけない。家族の再生をただひたすら信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける―早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。英国推理作家協会賞受賞。
著者等紹介
ハート,ジョン[ハート,ジョン][Hart,John]
1965年、ノース・カロライナ州生まれ。アメリカで現在最も勢いのある作家。ミステリ界の「新帝王」と呼ばれる。2006年に北米最高のミステリ賞であるアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀新人賞候補作『キングの死』で華々しくデビュー。その後、第二長篇『川は静かに流れ』(以上、ハヤカワ文庫刊)で、同賞の2008年度最優秀長篇賞に輝いた。第三長篇『ラスト・チャイルド』は、2009年の英国推理作家協会(CWA)賞最優秀スリラー賞を受賞している
東野さやか[ヒガシノサヤカ]
上智大学外国語学部英語学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
172
前作『川は静かに流れ』を読み、やっぱり海外ミステリーは訳者さんのチカラが大きく左右するなと実感した面白さの作品&作家さんだったので、本作にもチャレンジしました。上下巻というとどうしても読み始めるのに若干抵抗感があると思いますが、本作はそんなことは全くの杞憂に終わります。登場人物の繊細な心理描写、美しすぎるまでの情景描写、すべてがキレイにまとまっていくプロットなどミステリーに必要不可欠な要素がストレスもなく、すべて押さえされており、ラスト読み終えるまで至福な読書の時間を過ごせること間違いナシな作品でした。2010/12/11
遥かなる想い
111
「川は静かに流れ」でもそうだったが、ジョン・ハートの本は底に深い悲しみが潜んでいるようで、はまっていく心地良さがある。本作品は、このミス 2011年5位だが、もっと高くてもよい感じがする。優しい両親と瓜二つのふたごの妹アリッサと平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われ、その失踪を追う少年ジェニーの人物造形がよい。またアリッサの失踪により、薬物に溺れる母キャサリンの不思議な魅力もあり、下巻が期待できる。2011/01/08
papako
61
こちらの感想が気になって。のっけから、ラスト(残された)チャイルドのジョニーがかわいそうすぎて辛くなる。行方不明の双子の妹を探すジョニー、聖書に裏切られたと思い、土着の宗教の力を得ようとするジョニー。残されたジョニー母子を守ろうとする刑事ハント。ジョニーの親友のジャックとその家族。二つの死体からとんでもな事件が明るみになり、不穏な空気のまま下巻へ。なんだか辛い結末になりそう。しかしハントはいただけない。私情が前面に出すぎです。2016/12/05
財布にジャック
58
重い内容で、特に主人公の13歳のジョニーが痛々しくて読むのが辛いです。ジョニーの為に、お母さんのキャサリンも何とか立ち直って欲しいと切に思います。ジョニーのこの頑張りは、下巻できっと報われると信じて読み進めていきたいと思います。頑張れ!ジョニー!2012/09/29
シェルティ
26
題名のラスト・チャイルドってそういう意味なんだ。翻訳本なのにすごく読みやすい。伏線を探さなきゃと身構える必要なし。でも、アメリカ(今や日本も)の闇なのか、暴力が子供にも及ぶ。暴力好きなやつらは、同じ考えのやつら同士で戦って傷ついてくれ。平和に暮らしたい人間に関わるな!感想は下巻に。2013/03/03