内容説明
犯罪組織を裏で操る男レッド・ドック。幼いころ親に捨てられた彼と弟は、荒れた修道院で凄惨な少年期を送る。やがて弟は非業の死を遂げ、彼は誓った。俺の人生を破壊した奴らを皆あの世に送ってやる、と。２０年後、レッドは誘拐した警官夫婦の赤子を利用し、親族への復讐を開始。誰も予想だにしなかった究極の犯罪計画がついに幕を開ける…。『Ｍｒ．クイン』でミステリ史を塗りかえた著者が放つ「史上最悪」の暗黒小説。
著者等紹介
スミス，シェイマス［スミス，シェイマス］［Ｓｍｙｔｈ，Ｓｅａｍｕｓ］
アイルランドのベルファストに生まれ、不良ばかりが集まる学校に通う。卒業後、季節労働に従事し、路上で寝泊まりしながら数年間ヨーロッパじゅうを放浪。その後、独学で小説作法を身につけ、１９９９年処女作『Ｍｒ．クイン』を発表。同書は英国推理作家協会賞最優秀新人賞にノミネートされ、日本では各種ミステリ・ランキングの上位に選ばれる。現在は執筆活動のかたわら、妻とともに競走馬の飼育に携わっている。アイルランド在住
鈴木恵［スズキメグミ］
早稲田大学第一文学部卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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hit4papa
60
孤児院で育った男の復讐譚。惨めな暮らしの末、最愛の弟を亡くした主人公レッドは、自身を捨てた一家に恨みをつのらせて報復を企てます。この計画が病的とも言えるほど執拗です。警官の赤子を誘拐し孤児院に放置したレッド。レッドは、20年後、この娘を使って、一家の破滅を開始するのです。レッドの悪辣さが延々と語られます。回りくどいのでストレスが溜まりますね。レッドの計画は、連続猟奇殺人鬼、ピカソの登場で狂ってしまい…と続きます。レッドの粘着度が半端ないからか、どうも好きになれません。ゆえに結末はスカッとしてしまったよ。 2023/08/30
ペペロニ
16
初めは語り手の1人、レッドの行いにどういう意味があるのか理解しかねるが、物語が進むとパズルのピースがはまっていき行動の意味がよくわかってくる、テンポの良いノワール小説。あっという間に読めてしまった。2017/07/16
ホレイシア
13
自分だけの理屈で動くパラノイアの話という点で、確かに設定は好みだった。でも読後感は最悪。自分の親を知っていて嫌悪するのも苦しいが、ルーツを知らない、成長してから知って苦しむ、どれも嫌だね。著者は血縁関係の残酷さを知り尽くしていると感じた。2009/09/18
ニミッツクラス
7
02年の3刷を読んだ。前作「Mr.クイン」の快走を受けてか、翻訳物なのにわずか3ケ月強で3刷まで増刷されている。前作とは内容的に無関係の本書、読み始めてすぐに砕けた文体に好感を覚え、ローレンス・ブロックの様なシリーズ化への期待を膨らませた処だったが・・そうきたか・・端緒を開いてから呆れる程の長いモラトリアムを経ての頭脳犯罪となっている。傍から見ればまあまあの人生を送っている主人公だが、被虐の思いに復讐の熾火は消えることが無かった。もちろん続編なんか書ける道理もない。何も残らず、驚いた一作。★★★★☆☆2013/05/12
アーチャー
5
個人的には「Ｍｒ.クイン」の主人公の方が好きですね。まあ、どっちも悪い奴ですけどね(笑)2008/11/15
