ハヤカワ文庫
五匹の子豚

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  • サイズ 文庫判/ページ数 412p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784151300219
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

母は無実だったのです―娘の頼みにポアロの心は動いた。事件が起きたのは16年前。若い恋人に走った高名な画家を妻が毒殺、裁判の末に獄中死したのだ。殺人犯を母に持った娘の依頼で再調査に乗り出したポアロは、過去へと時間を遡り、当時の状況を再現してゆく。関係者の錯綜した証言から紡ぎ出された真相とは。

著者等紹介

クリスティー,アガサ[クリスティー,アガサ][Christie,Agatha]
1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。中産階級の家庭に育つが、のちに一家の経済状況は悪化してしまい、やがてお金のかからない読書に熱中するようになる。特にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズものを読んでミステリに夢中になる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている

桑原千恵子[クワバラチエコ]
1921年生、津田塾大学英文科卒、1972年没
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

MICK KICHI

112
過去の忌わしい殺人事件、処刑された容疑者の無罪を探るポアロ。五人の証人をマザーグースの唄に准え、証人の供述と手紙で構成された事件の炙り出しから、謎解きになだれ込むシリーズ屈指の傑作。人間の心理だけを推理の根拠とするポアロの姿勢が過去の責苦に苛まれた悲劇から驚愕の回答へと結びつける。BBC-NHK版も合わせて鑑賞。記述構成上の妙で引っ張る作品の再現の難しさはあったものの、ドラマ的クライマックスは良く出来ていたと思う。画家の作品が主題でありながらそのものを見せないのは賢明な演出。2019/02/19

財布にジャック

85
16年も経ってしまった殺人事件をポアロが灰色の脳細胞を駆使して見事に推理してみせるという小説でした。中盤あたりから、私にしては珍しく犯人はきっとあの人だろうと自信を持って読んでいました。ところがどっこい最後の最後に大どんでん返しが待っていました。殺されたのが画家というのも興味深かったです。でも、絵画がらみの殺人というわけではなく愛憎劇だったのはちょっと期待はずれでした。2013/05/02

セウテス

81
ポアロシリーズ第21弾。〔再読〕ポアロは16年前夫殺しの罪で、獄中で亡くなった母の無実を証明して欲しいと娘から依頼される。いわゆる「回想殺人」というスタイルで、極めて困難な設定のミステリ。物的証拠やトリックが在る訳でもなく、ポアロは5人の関係者に話を聞くのみ。会話に隠された二つの意味にとれる文章と巧みな伏線、見方が変われば一瞬で反転する真実、敢えて見事な仕事だと言いたい作品。それ故ポアロが一気に真相を明らかにするラストは、本当に気持ちが良い。全ての仕掛けが活きており無駄が無い、間違いなく作者ベストの良作。2017/04/08

依空

81
ポアロシリーズ21作目。16年前に起きた殺人事件を関係者の証言だけで再調査するという物語で、困難な依頼を見事に、そして一気に解き明かすラストがとても面白いです。同じセリフでも見方を変えれば意味がガラリと変わる驚きと面白さを、十分に堪能できる1冊でした。シリーズ中、唯一ドラマを先に見ていました。人と場面のカットは変わっても、ほぼ同じことを繰り返しているドラマは単調に感じたものです。けれど今回は内容が分かっているためか、小説だったためか、そこら中に貼り巡らされた巧妙な伏線とセリフを拾うのが楽しかったです。2016/12/29

aquamarine

79
この本では過去の事件を関係者の証言から紐解くだけで新しい事件が起こるわけではありません。それなのにいつの間にか惹きつけられぐいぐいと最後まで読まされてしまいました。マザーグースの五匹の子豚さながらに事件当時の様子を綴った5人の手記。同じ些細なことを別の思いを持った人が見るとどれだけ違って見えることか。ポアロの的確な5つの質問により暴き出される真実は、芸術家という被害者の人となりと被害者の妻の思いの推移が印象的でした。派手な作品ではありませんがとても読み応えがあり心に残る作品となりました。2015/02/04

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