内容説明
島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、フィクリーは打ちひしがれる。傷心の日々を過ごすなか、彼は書店にちいさな子どもが捨てられているのを発見する。自分もこの子もひとりぼっち―フィクリーはその子を、ひとりで育てる決意をする。本屋大賞に輝いた、本を愛するすべての人に贈る物語。
著者等紹介
ゼヴィン,ガブリエル[ゼヴィン,ガブリエル] [Zevin,Gabrielle]
1977年生まれ。ハーバード大学卒。2005年、ヤング・アダルト小説『天国からはじまる物語』で作家デビュー。2014年に『書店主フィクリーのものがたり』を刊行。数カ月にわたって“ニューヨーク・タイムズ”のベストセラーリストにランクインし、30以上の言語に翻訳され、全米の図書館員が運営する“Library Reads”ベストブックに選ばれるなど、世界中で愛されている
小尾芙佐[オビフサ]
1955年津田塾大学英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
248
書店主フィクリーの本と共にに生きた物語。偏屈店主が頑固を通した本屋の物語だと思っていたが違った。店に2歳の子供が捨てられてから、フィクリーが心を開いていく。巡りあった本との縁が、人と人との縁を結んでいく。縁だけで終わらず、時には隠さなければならない人間関係もあり、ドラマがありましたね。本屋さんや本に関する問題も考えさせられ、本好きで良かったと思う素敵な物語。実在する海外作品が出てくるので、海外作品好きな方には、たまらないと思う。面白かったけど、自分が海外作品に疎いのが悔しかった。海外作品も読まなきゃね。2020/02/29
はっせー
199
久しぶりに小説が読みたくなってこの本をとってみた。やはり私はこの本が好きだなとつくづく思わしてくれる作品であった!最愛の妻を亡くして大事にしていた珍本を盗まれた主人公フィクリーが自分の書店に取り残された子供のマヤを育てることになり人生がまた前に向かっていく。なんといっても本の話が多くあの本も読んでみようと何度も思う!そして内容がとてもよく心に沁みて感動できる。言葉が適切な所に置いてあると感じてしまう作品になっている。本が好きな人や書店が好きな人など色んな方に手にとって読んで欲しいと思う作品であった!2021/06/06
kariya
150
音を立てて本の扉を閉じた時、今までと世界が違って見えた経験はありますか? あるなら、この本の話すものがたりが分かるはず。アメリカの小さな島で、たった1軒の本屋を営む店主は、気難しくて変わり者。不慮の事故で愛する妻を失ってから。けれどある日、店に赤ん坊が置き去られ、孤独の代わりに彼は驚きと涙と笑いを手に入れる。本好きならニヤリとさせられる断片を散りばめつつ、本と互いを愛する人々が辿り着く結末は、本を言葉を物語を愛する人間たちへの力強い励ましの声だ。だって本を読まない人生なんて、生きてないのと同じ事でしょ? 2019/08/31
KAZOO
138
書店で平積みになっているので手に取ってみました。私のイメージしていたこのような分野の小説とは異なって(もう少し本の話が数多く出てくるのかと思いました)話はこの島に住んでいる書店主の日常的な出来事などを興味が出るような形で物語の世界に連れて行ってくれます。ある意味大人の童話的な話なのでしょう。2018/01/27
おしゃべりメガネ
121
海外作品は翻訳する方によって、読む側の印象も少なからず変わると思います。周りとの付き合いのほとんどない変わり者の書店主「フィクリー」はある日、店の前に置き去りにされていた一人の幼女と出会います。彼女は「マヤ」といい、ふとしたコトから血縁のない親子の不思議な暮らしがスタートします。「マヤ」を育てていく中で、偏屈な「フィクリー」も少しずつ、周りとの距離をうめていきます。警察署長「ランビアーズ」をはじめ、みんなが二人を温かく見守ります。訳がとても読みやすく、海外作品とは感じさせずストレスなく、読了できました。2023/03/20