内容説明
「もう一度やり直す道がある」わたしとハッサンをよく知る友人ラヒム・ハーンは告げた。電話回線の向こうにあるのは、わたしの過去、まだ償いの終わっていない罪。わたしは迷いをふりはらい、パキスタン行きのフライトに飛び乗った。そこに、わたしを打ちのめす哀しい真実が待ち受けているとは知る由もなく―アメリカとアフガニスタンを舞台に、少年時代の罪に立ち向かう男の姿を感動的に描き上げる、世界的ベストセラー。
著者等紹介
ホッセイニ，カーレド［ホッセイニ，カーレド］［Ｈｏｓｓｅｉｎｉ，Ｋｈａｌｅｄ］
１９６５年、アフガニスタンの首都カブール生まれ。１９８０年にアメリカへ亡命し、医師として働きながら執筆活動をはじめ、全世界的なベストセラーとなった『君のためなら千回でも』で華々しくデビューした。２００７年５月に発売された第二作Ａ ＴＨＯＵＳＡＮＤ ＳＰＬＥＮＤＩＤ ＳＵＮＳ（早川書房近刊）も１００万部以上のベストセラーとなっている
佐藤耕士［サトウコウジ］
１９５８年生、上智大学文学部英文科卒、英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
408
本書は著者の自伝的小説というわけではなく、アフガニスタンがたどった歴史の小説的記録である。著者は、これを書き残す必要があったのだろうし、アフガニスタンの現実を広く知ってもらう使命感があったのだろう。そして、記録や歴史として語られなかったが故に成功をもたらした。その所以は語り手であるアミールの苦悩が個的で内的なものであると同時に、アフガニスタンのそれと強い相関関係を持ちえたことにあった。また、小説の最後が単純に楽天的なものでないことにも、それは反映されていた。アフガニスタンの行方に希望は持てるのだろうか。2017/02/09
遥かなる想い
209
下巻は 激動のアフガニスタンを背景に、 少年時代の贖罪に立ち向かうアミールと その後のハッサンの人生を描く。 アメリカから アフガニスタンに戻った アミールが見た真実は何だったのか？ タリバンが支配する母国の酷く、哀しい現実は 胸を抉る…血の粛清の果てに、アミールが見た ものは何だったのだろう… 原題の「凧を追う人」の意味も味わい深い、 そんな下巻だった。2018/04/09
ケイ
131
原題の『Kite runner』、いいタイトルだと思う。十数年前だったか…、カブールでまたレストランが再開されたというニュースに映り込んだ、レストランのウィンドウ越しに中の料理を見つめていた少年の目を今でも忘れられない。当時のカルザイ大統領が来日された時の会見で、まず、私は今朝は暖かい朝食を食べてきましたと話されたことも。アフガニスタンの子供たちが幸せな時間を過ごせているならいいなと願うばかり。2016/12/06
まふ
115
下巻に入って俄然ダイナミックな展開となる。父の友人であったラヒム・ハーンからハッサンが実はババの遺児(アミールの異母弟）であり、その子ソーラブがタリバンに捕らわれているので助けてはいかが、との「提言」を受ける。単身タリバンに乗り込み幹部となっている昔のワルガキ アセフと再会する。ここから一対一で素手で戦うなどと、一気に(ウソっぽい？）サスペンスアクション小説的展開となり、ちょっとガッカリ。折角いいところまで来たのだから、もう少しマシな終わり方があっても、と思ったりした。G1000。⇒2024/02/13
アン
109
アミールを見守ってくれた父の友人から打ち明けられた悲痛な事実と秘密。アミールは大切な一人の男の子を救うため故郷カブールへ戻る決意を。勇敢で慈悲深いハッサンのかけがえのない想いを胸に命を懸けて…。ソ連侵攻前の平穏な時代からタリバン独裁政権、2001年のアメリカの空爆までを背景に、愛と絆、勇気と善良さ、贖罪と赦しを描いた物語。罪は消えなくても葛藤しながら、やり直す道はあると立ち向かう姿は尊く心が動かされます。壊れた心に少しずつでも光が宿りますように。たったひとつ救いだされた君と僕のソーラブの未来に幸せを。 2021/11/16
