内容説明
「君のためなら千回でも！」召使いの息子ハッサンはわたしにこう叫び、落ちてゆく凧を追った。同じ乳母の乳を飲み、一緒に育ったハッサン。知恵と勇気にあふれ、頼りになる最良の友。しかし十二歳の冬の凧合戦の日、臆病者のわたしはハッサンを裏切り、友の人生を破壊した。取り返しのつかない仕打ちだった。だが二十六年を経て、一本の電話がわたしを償いの旅へと導く―全世界八〇〇万人が涙した、衝撃のデビュー長篇。
著者等紹介
ホッセイニ，カーレド［ホッセイニ，カーレド］［Ｈｏｓｓｅｉｎｉ，Ｋｈａｌｅｄ］
１９６５年、アフガニスタンの首都カブール生まれ。１９８０年にアメリカへ亡命し、医師として働きながら執筆活動をはじめ、全世界的なベストセラーとなった『君のためなら千回でも』で華々しくデビューした。２００７年５月に発売された第二作Ａ ＴＨＯＵＳＡＮＤ ＳＰＬＥＮＤＩＤ ＳＵＮＳ（早川書房近刊）も１００万部以上のベストセラーとなっている
佐藤耕士［サトウコウジ］
１９５８年生、上智大学文学部英文科卒、英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
366
本書は英語で書かれている（お蔭で各国語に翻訳され、私たちも読むことができる）のだが、ここに描かれるのはカブールの空であり、空気であり、またアフガニスタン人（パシュトゥー人というべきか）の習俗・文化と価値観である。アミールの一人称回想体で語られていくが、語りの根幹には乳兄弟でありながらハザラ人の召使いであったハッサンとの間の内的葛藤が付き纏っている。このことの克服なしには、自己のアイデンティティを自らが根底から否定しなければならないからだ。そこにはまた偉大な父、ババと卑小な自分といった問題もあった。下巻へ。2017/02/08
遥かなる想い
204
ひどく悔恨と哀愁に溢れた物語である。 26年前に 友 ハッサンに対して 犯した裏切り、…仲の良かった友 アミールとハッサン…胸が締め付けられるような展開は 読んでいて 本当に 心に痛い。アフガニスタンを 舞台にした この作品…子供心に潜む 差別意識を 残酷に描きながら、二人の人生は どうなっていくのか？展開が気になる、 そんな上巻だった。2018/04/08
ケイ
125
タイトルから連想するのは、愛。それも男性から女性への。しかし、資産家の息子へ召使の息子から発せられた言葉だ。そこに込められた想いはどうだったのだろう。アフガニスタンへのソ連の侵攻が全てを変えていくが、変わる前は果たして…。下巻を読むのがつらい。2016/12/05
まふ
105
作者はアフガニスタン系米国人医師。母国での少年時代および亡命先の米国での自身の自立を綴った自伝的小説。上巻では、1973年の王制転覆、ソ連のアフガン侵攻等、激動の社会状況を背景に、正義感の強い父親の下で鍛えられながらも、軟弱であったため親友であるハッサンを裏切ったという悔悟の念に苦しみつつパキスタンへの里帰りの旅立ちまでを描いている。文章が爽やかで、読みやすく感情移入してしまう。ソラヤとの結婚を申し込み認めてくれた場面など「よかったね」と心の中で喜んでしまった。まっこと単純な読者だ、私は。 G1000。2024/02/13
アン
100
1963年アフガニスタン、カブールの裕福な家庭に生まれたアミール。彼は母を亡くし、男らしい誇り高い父のもとで育てられますが、すれ違いが生じ、愛情を渇望する屈折した幼少時代を。彼を支えてくれたのは物語と召使いの息子ハッサンであり、兄弟のように仲の良い日々を過ごしていましたが…。民族と宗派の違いや階級の壁、凧合戦での裏切りと恥ずべき嘘。2人の子供の心情を考えると胸が締め付けられます。ソ連のアフガニスタンの侵攻により、アミールは父と共にアメリカへ。そして、一本の電話の言葉から長い時を経て「償いの旅」へと。 2021/11/14
