ハヤカワepi文庫<br> ワイズ・チルドレン

ハヤカワepi文庫
ワイズ・チルドレン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 510p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784151200090
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ノーラとドーラは元気な双子の老姉妹。二人はショウ・ガール時代のおしゃれ心を発揮して、舞台俳優である父親の誕生日パーティに意気揚々とのりこむ。そこに、お色気たっぷりのテレビ女優、放浪癖のある手品師など奇想天外な双子4組に、寄せ集め家族のメンバーが勢ぞろい。歌とダンスにあふれたどんちゃん騒ぎの中で驚くべき家族の秘密が明らかになってゆく…。ちょっぴりエッチで饒舌な語り口が楽しい痛快な物語。

著者等紹介

カーター,アンジェラ[カーター,アンジェラ][Carter,Angela]
1940年、イギリスのサセックス州イーストボーンに生まれる。ブリストル大学英文科で中世文学を学ぶ。1967年発表の『魔法の玩具店』でJ・L・リース賞を受賞。1968年にはSeveral Perceptionsでサマセット・モーム賞を受賞し、賞金で海外旅行することという受賞条件を満たすため来日。その後、再び来日して1969年から1972年にかけて滞在した。1977年発表の短篇集『血染めの部屋』でチェルトナム文学祭賞を受賞。1983年にはブッカー賞の審査員をつとめる。また、晩年にはイースト・アングリア大学の創作コースで教鞭をとり、現代イギリス文壇を代表するカズオ・イシグロらを指導した。奔放な想像力で民話や古典をポップにアレンジする手腕と、鋭い諷刺が効いた論理的な文体で、幅広いジャンルの読者に根強い人気を誇る。1992年、肺がんのため死去

太田良子[オオタリョウコ]
東京生まれ、東京女子大学大学院修了、東洋英和女学院大学国際社会学部教授、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

312
元ショウガール(当年とって75歳)が語る回想記。小説の質はひとえに「語り」にあるといってもよい。何よりもテンポの軽快さこそが身上だ。語られる内容は重層的だが、その中核をなすのが「父親探し」の行脚。つまり、彼女たちのアイデンティティの模索の物語である。そして、それは同時にシェイクスピアの『真夏の夜の夢』が見せてくれる一場の夢のごときものでもある。チャップリンをはじめ、いにしえのショウマンたちも実名で登場したりもするので、その世界を知っていればもっと楽しみも大きいのだろう。一瞬の煌めきがここにあるのだから。2017/01/24

ケイ

119
ロンドンに住む双子の老嬢。義理の母を半地下室に引き取り、一緒に住んでいる。私生児の二人の父は、ショービズ界の有名人。名をとどろかせた旅芸人だ。孤独じゃないの?と最初は思える75歳の彼女たちの、あちこちにいる広い意味での身内たちもみんな陽気で、むちゃくちゃで、そして楽しい。残念なのは、最後まで訳の調子に私の読むリズムが合わなかったことと、作者がわすが52歳で亡くなっていることだ。2016/10/22

NAO

57
語り手のドーラ・チャンスは私生児の一卵性双生児。彼女たちの父親も双子なら、父親のそれぞれ別の妻も双子の姉妹と双子の兄弟を産んでいる。この物語、やたらと双子が出てくるし、家族関係がとにかくややこしい。4組の双子は、それぞれに性格が真逆。また、物語は、双子同士の性格対比と同じように、ドーラたちチャンス家と父親のハザード家の対比にもなっている。本当の父親に一方的に恋こがれているドーラとノーラの父親探しをテーマにした軽妙な語りのドタバタコメディ、アンジェラ・カーター独特の世界が広がっている。 2022/04/08

えりか

34
軽快なテンポとテンションの高い語り口で、愉快に楽しく読めた。75歳の元ショーガールの双子の女性のパワフルで前向きでいつまでも「女」として振る舞う姿は、見習いたいところがあった。彼女たちが感じたショーでの高揚感は、昔バレエを習っていた時の発表会時に感じた、あのスポットライトの眩しさとドキドキしてポーッとなる感覚を思い出した。なんだか、ソワソワとして踊り出したくなった。辛くても悲しくても、しっかり前を向いて、人を愛し、人に愛されて、歌って踊って、人生を楽しまなくては!2016/03/31

神太郎

14
こんなにパワフルで元気なおばあちゃんがおくるテンポのよい、複雑で奇妙な家族小説でした。 人名覚えるのが最初は大変でしたが、そんな彼らが紡ぐ物語がとても面白かったです。 父親とは、親になるとは。そういうのがテーマなのでしょうか。 舞台作品の言葉を引用したり、霊的な何かが二人の老女に啓示を与えるといったドラマチックなシーンなど読み応えがありました。2014/07/17

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