ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 酔いどれの誇り

ハヤカワ・ミステリ文庫
酔いどれの誇り

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  • サイズ 文庫判/ページ数 481p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150774028
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

没落した名家の生まれのミロは、遺産が入る日を待ちわびる酒びたりの私立探偵。ある日、彼のもとを一人の女が訪れた。行方不明の弟を捜してくれというのだが、やがて、若者は麻薬の射ちすぎで死体となって発見された。姉の話とは裏腹に、弟は自堕落な日々を送っていたらしい。埋もれた過去を追い、ミロは荒廃した街へ踏み込んでいった。大西部の片隅に生きる人々の哀しみを、詩情をこめて謳い上げる極上のハードボイルド。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

田中

27
私立探偵ミロは無類の酒好き。地元には酒飲み仲間がたくさんいる。そんなミロに美しい女性ヘレンから音信不通になった弟の行方の捜索を依頼される。ミロは、いつしかヘレンに惹かれていく。亡くなった父親との苦い想い出を顧みながらミロの生い立ちも明らかになる。一人の男が背負ってしまったやるせない人生。でも彼は誠実であろうとする。自分にタガをはめ、決して捨て鉢にはならないのだ。ヘレンの隠された秘密を知るラストには驚いた。巧妙な会話のやりとりと密度の濃い描写だが重い感じにならないのが良い。結局は、ミロが翻弄されたのだろう。2023/08/04

タナー

9
ある日事務所を訪れた女の依頼は、行方不明の弟を捜すことだった。調査を始めたミロは、その弟レイモンドが麻薬の射ちすぎで死亡したことを知る....。ハードボイルドの主人公の中でも、このミロは私のお気に入りのひとりだ。自分がやると決めたら依頼人にクビにされても、納得がいくまで調査をやめないというのはこの手の私立探偵モノのお約束みたいなところだが、このミロという男はそんな中でもワイルドでタフという点ではぐんをぬいている。この愛すべき男の新しい物語はもう読めないが、再読を重ねたいシリーズのひとつだ。2021/10/06

kurupira

9
うーん、面白かったが、、ちょっと酒を飲みすぎなのではないか??2015/01/10

Satoshi

8
アメリカの片田舎の架空の町メリウェザーが舞台となる。そこには酔っ払いとヒッピーと薬中がいて、主人公のミロも酔っ払いながらその日暮らしをしている。その主人公のもとに美女が訪れることから物語が始まる。酔っぱらってばかりで頼りないミロが事件に巻き込まれるが、ミロは鋭い洞察力があるわけでも事件を足で解決するわけでもない。あるのは酒と友情と優しさだけなのだが、これが非常に面白い。事件の背景もあっけないし、ラストはこれでいいのか?と思ってしまうが、主人公の魅力と文章中に漂う何とも言えない倦怠感がたまらない作品である。2016/04/09

白義

8
最初のシーンから引き込まれる。人々だけでなく街全体が疲れ、くたびれ、すり切れて酔いどれている退廃が、胸がゆっくり詰まるように哀しく描かれている。主人公のミロも含めて、ほとんどの登場人物は麻薬にも犯罪にも手を染めているし、くだらなく、クズな連中だらけだ。しかし、それらのくだらなさを、それぞれの過去や人生と共に語ることによって、登場人物のほとんどに愛しさすら持つようになる。許し、がこの小説のテーマだと言えるだろうけど、ミロたちはまさに酔いどれ、許し合うことでその誇りを保っているのだろう2011/08/25

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