内容説明
探偵稼業は女には向かない。ましてや、22歳の世間知らずの娘には―誰もが言ったけれど、コーデリアの決意はかたかった。自殺した共同経営者の不幸だった魂のために、一人で探偵事務所を続けるのだ。最初の依頼は、突然大学を中退しみずから命を断った青年の自殺の理由を調べてほしいというものだった。コーデリアはさっそく調査にかかったが、やがて自殺の状況に不審な事実が浮かび上がってきた…可憐な女探偵コーデリア・グレイ登場。イギリス女流本格派の第一人者が、ケンブリッジ郊外の田舎町を舞台に新米探偵のひたむきな活躍を描く。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
405
「〇〇には向かない△△」といったタイトルを昨今はよく見かけるが、その嚆矢はこの作品ではないだろうか。邦題は原題の直訳だが、なかなかに魅力的で読書欲を大いにそそる。そんな本作なのだが、最近のミステリーを読みなれた身には(そんなに読んではいないのだけど)展開のスピードが幾分まどろっこしく感じられる。また、最初はわからないが、後になってみると、カレンダー卿からの依頼がそもそも不自然である。また、後半のヤマ場たる井戸からの脱出シーンにしても取ってつけたような感が否めない。さらには、末尾のダルグリッシュとの⇒2023/03/28
absinthe
201
外連味なく、味わい深い作品。サスペンスは控えめ。absintheとしてはこういう作品は大好きなのだが、有名な割にはどこか地味な感じで、描写が執拗でやや読みにくい感もある。表題からわかる通り主人公は女。高名な学者の息子が自殺した理由を調べるように依頼される話。自殺が続くので気が滅入るが。正義とは、愛とは、名誉とは。テーマについて逡巡する。この掘り下げが世間の高評価につながったのか。2022/05/23
遥かなる想い
161
小説のタイトルの地味さに 比べて、物語りはおもしろく、いっぺんに引き込まれていく。女探偵というのも、最初は抵抗感がちょっとあったが、格闘がないだけの話で、読み進めていくうちに気にならなくなった。むしろ、ひたむきな素人探偵という設定から、いっしょに調査しているようで、緊迫感を感じることができた。 2010/05/12
Tetchy
93
この作者の本道シリーズ、アダム・ダルグリッシュ物ではなく、こちらから最初に手を出した。いいね、コーデリア!あの井戸のシーンは数あるミステリ作品の中でも屈指の名シーンでしょう!2008/10/23
かえで
89
22歳の女私立探偵、コーデリア・グレイ。相棒に先立たれた彼女が、富豪の子息の不審な自殺調査に挑む。健気に捜査に挑むコーデリアの姿に思わず心打たれてしまいます。コーデリアは各所でタイトルの通りのことを言われ、また初めて一人で担当した事件なので苦戦します。また危機も訪れます。そんな苦境を乗り越えて真相に向かっていくコーデリアのことをどんどん好きになってしまいます。またミステリーとしても本格です。気丈に頑張り続けたコーデリアが、最後にある人物に感情を爆発させるシーンは涙なしでは読めませんでした。コーデリア可愛い2019/05/20