内容説明
二万ドルの報酬で価値のないものだけを盗む怪盗ニックに、フランスで撮影中の映画の小道具に使われている、ゼンマイ仕掛けのネズミを盗んでほしいという手紙が届いた。一個一ドルもしないガラクタに大金を払う人物の真意とは?おもちゃのネズミを盗む好短篇をはじめ、バッキンガム宮殿の七羽の大鴉やマフィアの親分の飼い猫など、謎に満ちた盗みの注文に世界を駆けめぐるニックの冒険の数々。全十篇を収録した第三短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
84
【怪盗ニック】シリーズ第3弾。〔再読〕今回も、ショートな10作の短編集。大きな流れとしては、恋人のグロリアにニックの仕事がバレてしまう「昨日の新聞」が見所。仕事にグロリアを連れていくニックもだが、泥棒が仕事と解って尚動揺しない彼女は素敵だ。彼女の言葉が、そのままオチとしても洒落ていると思う。他では「おもちゃのネズミ」が、真相や駆引きでも好きな作品だ。ただ今回は前2作品と比べると、展開はスリリングだが結末にビリッとくる作品が少ない。ニックと共に、隠された真相を推理する事が出来る、という事が楽しめたのだが。2020/09/08
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
83
報酬は2万ドル。クライアントから頼まれたものを盗む泥棒稼業。ルールは一つ。〈価値のないものしか盗まない〉。怪盗ニック・ヴェルヴェットが活躍する10篇を収録した短篇集。本書でニックが盗んだものは〈ネズミのおもちゃ〉〈公演が終わった芝居の切符〉〈石膏のライオン〉〈7羽の大鴉〉〈トラ猫〉〈古いサーカスのポスター〉〈家族の写真〉〈昨日の新聞〉〈灰皿〉〈石鹸〉。人が死なないおおらかなピカレスク。昔風に【悪漢小説】と呼ぶのが似合うかも。依頼する側の事情がミステリーの肝。シリーズ3作目だが、他の本も読んでみたい。2015/02/19
ごへいもち
20
疲れているときや気晴らしにぴったり2016/05/21
ホームズ
4
『おもちゃのネズミ』が良かったですね(笑)他の作品は少し落ちてしまったり少し真相が分かりにくくなってしまった感じのものがあったりして微妙かな。『昨日の新聞』ではついにグロリアにニックの正体がばれてしまいましたね(笑)しかしグロリアの反応がいいですね~(笑)2011/05/20
cinos
4
ただ価値のないものを盗む話ではなくて、何も盗まないとかヒネリが加わっています。ニックは面白い。2010/08/07