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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
332
★★★★☆ リュウ・アーチャーシリーズの第12作目にして代表作。 どこか物悲しく、悲哀を感じさせる性格のアーチャー。今作も悲しくも残虐な事件の真相を淡々と探っていく。 重厚な物語は読み応えたっぷり。しかし、アーチャーが終始丁寧語なのはキャラに合ってないように感じた。 登場人物のいずれも真犯人とするには決め手がなく、真相は終盤まで分からなかった。その分、謎の人物レティシャの正体が発覚するシーンでは鳥肌が立った。 タイトルの通り、まさに「さむけ」を感じられた一冊といえる。2022/06/21
サム・ミイラ
159
昔読んだはずだが全く覚えていない。なので純粋に楽しめた。どことなく若い頃よく読んだペリー・メイスンシリーズに似ているような。ただしこちらの方がはるかにややこしい。覚えにくい名前や姓が入り乱れあれ?これ誰だっけ?と行きつ戻りつするのは間違いない。カバーの登場人物表がこれほど役に立つのも珍しい。だがラストの残り数頁で全ての謎が明かされる時不思議なほどすっきりし実は良くできた話だったのだと感心してしまう。それまでの読者と探偵の苦労も吹っ飛ぶほど。この小説がハードボイルド最高峰と云われるだけはある。確かに傑作だ。2018/08/19
遥かなる想い
120
ロス・マクドナルドの 本を 初めて読んだ。物語り全編に流れるひどく孤独な雰囲気の底に、血の宿命といったさびしげなものを感じる。過去と現在が 錯綜しながら、事件が発生するというよくある設定だが・・・読み進めるにつれ、物語りの発端となる新妻ドリーの存在感が少ないかな、とも思った。
セウテス
97
探偵リュウ・アーチャーシリーズ第12弾。〔再読〕私のハードボイルドの印象を変えた作品で、ラスト数ページにて一気に明かされる真相には、正にさむけがすると言える。とは言っても、伏線から隠された真実に気付く事は可能な本格でもある。物語はアーチャーが、新婚旅行初日に行方知れずになる新妻を、探して欲しいと依頼されて始まる。調査の結果無事に探し当てるのだが、そこで殺人事件に巻き込まれる。たいへん魅力的なスタートも良いが、完全に計算尽くされた登場人物の複雑な内面が、物語に深みを与えている。さむけとは、誇張などではない。2018/07/19
ケイ
96
新婚一日目にして姿をかくした妻。夫から彼女の捜索を頼まれた探偵は、彼女を探し出す。しかし、その後は、若い夫婦を半ば置き去りにして話は進んでいく。結局、男が女を狂わせたのか、それとも女が男を追い込んだのか…。古い話なのに、どんどん読み進んだ。これは映像化向きだと思う。2014/09/09