感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅人(𝒕𝒂𝒃𝒊𝒕𝒐)
16
再読。ギリシャ神話になぞらえて選ばれた12の事件。神話を知らなくても、この短編集は面白い。意味もなく大勢の人が出て混乱することもないし、事件の種類も様々あるが、事実は「見かけ通りではない」というスタンスの意外性も味わえる。以前の、少し物足りなくて苦手に思った短編集とは満足感が違った。何より好きなところは、全編をとおして、ポアロならではのユーモアがあり、ミス・レモンやジョージもいい感じで登場するし、登場人物達へポアロが親愛を感じる作品もいくつもあって、読後感もいい。2022/12/06
星落秋風五丈原
12
この物語は、ポアロが何度目かの引退を口にした事から始まる。 これからはカボチャの改良をして余生を過ごすというポアロに、医師が言う。 「きみの仕事はヘラクレスの難業ではない。愛の難業だ。」 この言葉にポアロは反応する。といっても、「君に仕事は辞められない」と言う彼が言わんとした趣旨ではなく、「ヘラクレスの難業」という比喩にこだわってしまった。本末転倒な話だが、確かに彼がこだわる理由はある。エルキュールをギリシア風に読めばヘラクレス、つまりヘラクレスは、自分と同じ名前の神話上の英雄である。2004/09/26
あつ子🌼
12
実家の本棚発掘本。大好きなクリスティ女史のポアロものです。やはり良い。この短篇集では、二篇に渡って登場するミス・カーナビがお気に入りです(笑)ポアロに、「あなたはぼくが会った中でもっとも運のいい犯罪者の一人です」と言わしめた。凄いお人やー。2018/05/30
旅人(𝒕𝒂𝒃𝒊𝒕𝒐)
9
ギリシャ神話のヘラクレスの偉業になぞらえて、ポアロが12の事件を解決に導いて引退すると決める。引退したらナタウリの改良をする…そんなエピソードが他作にあって、クリスティの仕掛けが面白い。70年以上も前に書かれた話なのに、主に年配の人々が「現代社会のストレスとあわただしさ」に反発を感じるなんていう描写は、いつの時代にも共通するものなんだなぁ。事件だけではなく、時には愛のキューピットにもなるポアロの活躍を楽しめた。2021/06/05
有沢翔治@文芸同人誌配布中
8
エルキュール・ポアロはHerculesと綴り、これはギリシャ神話のヘラクレスと同じ綴りである。その名にちなみ、12の事件を解決しようと決意した。 レルネーのヒドラ、クレタ島の雄牛など、それぞれをテーマにした連作短編集である。 http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51518179.html2021/04/11