内容説明
「エイリアンに誘拐されたことがある人求む」ハーバード大の心理学者である著者は、記憶の研究の被験者を募る新聞広告を出した。集まったのは、ごく普通の人たちだった―奇妙な思い込みをのぞけば。彼らの話に物証はまったくなく、実際の記憶はないのに誘拐されたのだと語る人もいるが、みな不思議と似たような経験をしている。彼らにいったい何が起こったというのか?科学技術時代の複雑な人間心理の謎を解き明かす書。
目次
第1章 いったいどんないきさつでエイリアンの研究をすることになったのか?
第2章 なぜエイリアンに誘拐されたと信じるようになるのか?
第3章 もし起きていないなら、なぜ記憶があるのか?
第4章 アブダクションの話は、なぜこれほど一致しているのか?
第5章 どんな人が誘拐されるのか?
第6章 もし起きていないなら、なぜ起きたと信じたがるのか?
著者等紹介
クランシー,スーザン・A.[クランシー,スーザンA.][Clancy,Susan A.]
ハーバード大学の心理学者。中米経営大学院(INCAE)の客員教授。大学院生時代に行なった、子供時代に性的虐待を受けたという人の「記憶」が本物かどうかという研究で、論議を呼ぶ
林雅代[ハヤシマサヨ]
青山学院大学文学部英米文学科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
77
心理学者の調査と考察の一般向け読み物。「偽りの記憶」の調査で、心理学者である著者は、「宇宙人に誘拐された経験のある人」募集と新聞広告で呼びかけた。集まってきた経験者たちのパターンや経験したエピソードと考察。学者として経験の浅い著者は予想外の成り行きに驚く。科学万能の現在の米国でもありえないようなことをごく普通の人が信じる理由とは何かを語る。記憶というものは、画像データのようにメモリーから取り出すものではなく、思い出すごとに再構成されるものという。経験者の発言部分が当然多いがそこは飛ばしつつ読んだ。良書。2018/04/16
GAKU
41
当たり前だが本当にエイリアンに誘拐された人などいなかった。思い込み!2020/06/28
ステビア
24
名著。①タイトルの答えは「meaningfulness of lifeを取り戻してくれるから」。②アブダクションの記憶自体は虚偽記憶。そのエピソードの内容は一般に流布している映画や小説の影響を強く受ける。③ビリーバーたちは空想傾向やスキゾタイパルなパーソナリティをもつことが多い。2021/05/01
宇宙猫
24
パラパラと見た。ハーバード大での心理学研究について書かれた本。面白い研究だと思うけど、被験者の経験(と思いこんでいる)話がえんえんと続くので無理だった。2016/05/13
きゅー
19
認知心理学の観点から、なぜエイリアンに誘拐されたと思い込む人々がいるのかを解き明かす。彼らに聞き取りを行うと、エイリアンによる誘拐体験を、最もトラウマな経験であり、なおかつ最も幸せな経験であったと答える人が多くいたそうだ。彼らが言うには、エイリアンによる誘拐体験によって自身の価値観がまったく一新したという。それは「宇宙のなかに自分の居場所があることや、自分は大切な存在であることを教え、安らぎを与えてくれる」。エイリアンやUFOについてではなく、人間の持つ意味を欲する力について知ることが出来る一冊。2015/06/12