内容説明
数学の王ガウスが「女王」と呼ぶ、数論を初めとする「純粋数学」の透きとおった気高さ。アインシュタインら物理学者の理論に不可欠な基礎を提供した、「応用数学」の絢爛多様な実用性。これら数学の成果は人間の知的財産であり、物語を楽しむように鑑賞できるのだ。目を見張る数学的達成から数学的潮流のダイナミックなぶつかり合い、そして数学が抱える限界までを生き生きと描く名数学史完結篇。
目次
第11章 数学の女王
第12章 抽象と予測
第13章 キュジコスから海王星まで
第14章 二種類の絵
第15章 応用数学の主な手段
第16章 微積分学を越えて
第17章 波動と振動
第18章 選択と偶然
第19章 “天を強襲する”
第20章 基盤
著者等紹介
ベル,E.T.[ベル,E.T.][Bell,Eric Temple]
1883年、スコットランドのアバディーンに生まれる。アメリカに移住後、全米数学者協会会長や全米科学振興協会の副会長などを歴任、各種数学専門誌の編集委員もつとめる。1937年に初版が刊行され、今も読み継がれる数学史の古典『数学をつくった人びと』(本文庫刊)をはじめ、数学関連の著書が多数ある。なお、John Taine名義で、『鉄の星』をはじめとするSF小説の著書もあり。1960年死去
河野繁雄[コウノシゲオ]
1926年生。1958年東京都立大学大学院理学研究科修了。城西大学名誉教授
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感想・レビュー
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roughfractus02
5
数学と科学の方法を区別した上巻に続き、本巻は数学の科学への応用過程を辿る。整数論の進展にガウスが冠した「女王」たる数学の本領を見る著者は、数学の科学への応用を「下働きも楽しからずや」と評する。ケプラーの法則に感覚を無意味に上昇させる数学の抽象力を、万有引力の法則に自然の抽象によって予言能力を与える数学の一般化の能力を見る著者は、微積分とゲーム理論、波動方程式とフーリエ変換、確率論へ応用される数学が公準的方法と実数体に基礎を置く現代数学の主題となり、ブールやホワイトヘッド/ラッセルの現代論理学に至るとする。2017/12/25
fseigojp
4
形式主義という概念がちょっとわかった気がした2015/07/13
まじぇすた
2
I の方は色々な数学の入門的解説が分かりやすかったりして良かったのだが、II になるとそれが急に分かりづらくなって、内容もご老人の愚痴めいたものがちらほらと散見し楽しめなかった。数とは何か、数学とは何か。これらの問いには全く答えられない。連続体仮説って解決しないのかなぁって何故か気になる。2017/09/13
massn
1
二巻目は応用数学、物理学に踏み込む。とともに常に揺らぎ続ける数学の基礎を再構築する。そして最後には。。。理系大学生のカリキュラムの骨格はこの時代に組みあがっていたのかも。コンピュータサイエンスは入ってないけど。2015/04/18
鐵太郎
0
数学の世界を説明するためには、むろん数式は欠かせません。しかし数式がなくても、頭の中でパズルをいじることによって概念を説明することもできます。代数学、幾何学、解析学と分けられた数学の分野の中で、幾何学と呼ばれる分野です。大数学者といわれる人々の中にも、数式が全く理解できず、むろん使いこなせず、幾何学の世界でのみ存在感を示すことができた人もいたのだそうな。科学の基礎となる数学の奥深さが面白い。2007/12/22