ハヤカワ文庫<br> レナードの朝

  • ポイントキャンペーン

ハヤカワ文庫
レナードの朝

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 662p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150502379
  • NDC分類 936
  • Cコード C0111

内容説明

脳炎後遺症のために自分の意志で動くことも話すこともできず、凍りついたように同じ姿勢を取り続ける患者たち―破壊的な病に自由を奪われた彼らだったが、奇蹟の新薬によって驚異の「目覚め」を経験し、じょじょに人間的な生活を取り戻していく。だが、この薬には知られざる「副作用」があった…20人の患者それぞれの奇妙な症状と人生を深い洞察力で描き、人間の尊巌に迫るサックス博士の代表作、新訳決定版で登場。

目次

第1部 プロローグ(パーキンソン病とパーキンソン症候群;嗜眠性脳炎(眠り病)について
嗜眠性脳炎の経過(1927年~1967年) ほか)
第2部 目覚め(症例1―フランシス・D;症例2―マグダ・B;症例3―ローズ・R ほか)
第3部 展望(展望;目覚め;試練 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハイちん

5
「眠り病」の流行から50年……完治したかに思われた罹患者たちは突如として原因不明のパーキンソン症状を発症する。失語、筋固縮、振戦、昏睡……病によって人間性を失った患者たち。彼らを救う方法が見つからないまま時間だけがすぎていった。しかし奇跡の薬『L-DOPA』が開発される。それを投与された患者たちは次々に『目覚め』人間性を回復させていくが……。医学ノンフィクションでありながら非常に物語的。著者の科学的観察、深い教養、詩的・音楽的感性が合わさり、患者たちの人間性をめぐる内なる戦いを科学的かつ情緒的に描いている2015/06/19

うぃっくす

2
嗜眠性脳炎の後遺症でパーキンソン病を発症し、凍りついてしまった患者にL-DOPAを投与しその「目覚め」とその後の苦しみを綴った記録。 オリヴァーサックスの患者への愛に溢れた考察と深い知識と洞察力がすごい。人はいつまでも人として生きていくんだなあ。あと結局愛情がないとだめになるみたい。今の時代にマッチしない病気かもしれないけど折に触れて読み返したい本だった。読み終わった後に人間的とは何かと考えてしまう。病気に対しては賢い武器をもって可能な限り超越して順応し、最善を尽くしていかなければはらない、ってのが響いた2018/07/15

フォレスト

1
映画化もされましたので概要は知っている人も多いでしょう。嗜眠性脳炎後遺症の奇跡の薬と思われたL-DOPA。されどその奇跡に不可避的に終わりがやって来る悲劇を。確かに悲劇であり辛い話です。でも、決して後味の重い本ではありません。それは、サックスが病気に主体を置いてではなく、患者をひとりひとりの生きた人間として温かい眼差しでもって描いているからです。表現力の豊かさが詩的過ぎると思える面もありますが、脳の不思議さに思いを馳せさせ、そして著者の温かな人間性が静かな感動を呼ぶ優れた医学ノンフィクション。いい本です。2010/08/26

AR読書記録

0
映画は未視聴ですが先にあらすじだけを見てしまって,『アルジャーノンに花束を』と同じ構造やん,と思いました.で,そのあとこれを読んだら,うむ,映画のあらすじで持った印象ともまただいぶ違う... 何十年もの時を越えての「目覚め」は劇的です.でも,そのあとに待つ運命は思った以上に過酷.その後の人生と引き換えに,それから比べたらわずかの間に過ぎない(かもしれない)「目覚め」を得るというのはかなり究極の選択だと思うけれど,しかも選択時にはその代償はわからないというのは... うーん,まだ消化しきれないな.2013/04/22

釈聴音

0
病院の経営方針の変化という、一見些細な変化が患者の症状に重大な影響を与えうるという描写に関心を引かれた。2013/02/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/402969
  • ご注意事項