ハヤカワ文庫 ＮＥＸＴ―ネクスト〈上〉

クライトン，マイクル【著】〈Ｃｒｉｃｈｔｏｎ，Ｍｉｃｈａｅｌ〉/酒井 昭伸【訳】

早川書房（2009/11発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 437p／高さ 16cm
• 商品コード 9784150412074
• NDC分類 933
• Cコード C0197

出版社内容情報

急逝した巨匠が描く問題作！
遺伝子研究がもたらす驚愕の未来図。
ヒトの遺伝子を動物に導入したら？　自分の細胞が知らぬ間に売られていたら？　事実とフィクションを一体化させて描く悪夢の世界。

内容説明

バーネットは抗癌性物質を分泌する体質の持ち主。彼は、自分の細胞を無断で売った大学と買い手のＢｉｏＧｅｎ社を相手に、訴訟を起こす。ＢｉｏＧｅｎ社の研究員ジョッシュは、人を成熟させる遺伝子の研究をしている。一方、ヒトの遺伝子を導入した人語を操るオウムとヒューマンジー（ヒトとチンパンジーの交雑体）が人知れず成長していた。幾多のエピソードから浮かび上がる悪夢の未来図。急逝した巨匠が生前発表した最後の小説。

著者等紹介

クライトン，マイクル［クライトン，マイクル］［Ｃｒｉｃｈｔｏｎ，Ｍｉｃｈａｅｌ］
１９４２年、イリノイ州シカゴ生まれ。ハーバード大学で人類学を専攻後、ハーバード・メディカル・スクールへ進み、医学博士号を取得した。在学中からミステリを書きはじめ、１９６８年に発表した『緊急の場合は』で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞し、６９年の『アンドロメダ病原体』が世界的なベストセラーとなる。その後、次々と話題作を世に送り出し、その著作のほとんどが映画化された。また、自らも映画監督として活躍。２００８年死去

酒井昭伸［サカイアキノブ］
１９５６年生、１９８０年早稲田大学政治経済学部卒、英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ブラックジャケット]

理系作家の面目躍如の遺伝子操作をテーマにしたエンターテイメント小説。特殊な遺伝子を持つ人物の細胞を、病院が勝手に製薬会社に売却。製薬会社は、モラルなき研究へ。病院は商売人顔負けの儲けを手にする。最先端の遺伝子医療も将来の莫大な利益を想定し、安全生よりもライバルを出し抜くことが使命となる。しゃべるオランウータン、計算するヨウム、人間に限りなく近いチンパンジーと遺伝子操作のショッキングな新顔たちが、人間界に地歩を築き始める。章を締める文章が絶妙で、やめられないとまらない症候群に陥る。さて、どうなる後巻。

2023/09/03

[Miyako Hongo]

作者死亡をこの本ではじめて知った情弱な私。アシモフに迫るヒューマンSFの書き手だったのに残念。 遺伝子特許問題をネタにした企業謀略ドラマ。一章が短くて通勤中に読むには便利だが章ごとに話が飛ぶのでどんな話だったかわからなくなるのが難点。特殊な遺伝子を持つ男とその家族が勝手に自分の細胞を売った医者を告訴、薬剤会社の研究員が事故で兄貴にマウス用の実験薬を吸わせてしまう、死体から勝手に臓器を抜かれた病院医師の怒り、大学研究職員が言う有名研究者の愚痴...ばらまかれたパズルのピースが下巻で本当に繋がるのかな。

2014/07/05

[kuma-kichi]

遺伝子SFとでもいうべきか。ヒト遺伝子をチンパンジーやオウムに組み込んだり、社会を制圧するようになる遺伝子を組み込んだり、複数の話が並行して進んでいく。ハラハラ。

2020/02/29

[ikyo_01]

遺伝子研究に関する事、様々な事例を盛り込み、問題点を定義している。久しぶりに読んだマイケル・クライトン。読みながら、そうそう、こうやってどんどん話に引き込まれ、導かれて行くんだよねぇ。と思いながら、ページをめくるのが止まらないうれしい感覚。

2010/02/23

[たいへー]

社会的なテーマを一級のエンターテイメントに仕立てる天才マイクル・クライトン。今回は遺伝子操作やバイオテクノロジー周辺の〝すぐそこにある未来〟を扱っている。最新の遺伝子研究の成果や難しい生命倫理の問題など、一見とっつきにくそうな問題をスリリングな人間ドラマに仕立てる手腕はさすが。実際に起きた事件から最先端の研究成果まで扱われる情報量は膨大だが、理解しやすいようわかりやすく整理されているため、読み進めるうちに様々な問題が見えてくるようになっている。面白くてためになって読み終えた後考えさせられる知的ミステリ。

2020/06/10