内容説明
ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべき通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人命と引き換えに巨額の金塊を要求、地上にいる仲間と連携し、政府や軍、FBIを翻弄する。斬新な犯人像と、周到にして大胆な計画―冒険小説に新たな地平を切り拓いた名作。
著者等紹介
ネイハム,ルシアン[ネイハム,ルシアン][Nahum,Lucien]
1930年、エジプトのアレクサンドリアに生まれる。16歳のときからフリーの新聞記者としてイギリスやフランスの新聞に記事を書き始める。AFPニューヨーク支局の記者として長いあいだ活躍し、1975年に『シャドー81』を発表。六カ国語に通じ、パイロットの資格を持っていた。1983年没
中野圭二[ナカノケイジ]
1931年生、慶應義塾大学大学院修士課程修了、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
155
いやー、面白かった。ロス発ハワイ行きのジャンボが最新鋭の米軍戦闘爆撃機にハイジャックされた。この設定が斬新。序盤の仕込みの記述がややもたつき感はあるが、ストーリーが走りはじめた後は非常にテンポよく進み後半は一気読みでした。身代金の強奪方法も斬新でしたね。面白いアクション小説はないかとネットを漁っていたところこの本を知り、そしてたまたま読友さんがお持ちで貸していただけたという運の良さ。本国アメリカでは評価されず、筆者の作品はこれ一冊のみとは非常に残念。映像化しても面白そうだ。★★★★★2013/12/13
mura_海竜
151
今年初めの本。中長編のミステリー。読友さんが読まれていて拝読しました。また、ハイジャックものでミステリーという組み合わせ、とても楽しみでした。前半はハイジャックまでの前準備、後半はハイジャックからその狙いと真犯人。その後は寄せては返す波の様に完全犯罪の道まで。飛行機の計器やら専門的な内容多数。航空機好きにはたまらない。周到な準備とプロの仕事を見た。主人公グラントとPGA機長ハドレー、管制官ブレイガンのやり取りは格好良かった。しかし、洋上の船でのかなり深刻なシーン、マネキンはジョークかもしれませんね。2021/01/10
absinthe
145
犯人の狙いは何か?ハイジャックは成功するのか?だいたいどうやって戦闘機を手に入れたのだ?手に汗握るサスペンスが楽しめる。ごく短時間のストーリーを高密度で描いた作品で、最後まで楽しく読める。倒置法など使わずに素直に時間を追う構成。作者のルシアン・ネイハムはジャーナリストだったようだ。事件を知ろうとする人々、自分なりの解釈を開陳するもの、そんな世間への皮肉やベトナム戦争への批判も強い。ただ本書、残念なことに少しバランスが悪い。重要でない人物にスポットを当てすぎた。2016/02/19
青乃108号
119
なんか思ったのと違った。戦闘機に機外ハイジャックされたジャンボジェットの、手に汗握る脱出劇、二転三転する状況に翻弄される乗客乗員200名の運命は?全編そんな感じで楽しませてくれるものと思っていたけど。いや、500ページもあるから全編【それ】でグイグイ、じゃない気もしていたが、結果【それ】の場面は200ページ程度で意外とあっさりでがっかり。【それ】以前の計画準備など異常に細かく描写され 200ページ。【それ】以降の後処理の説明もダラダラと長く100ページ。75年出版という事で、テンポが悪いのは仕方ないかな。2022/07/24
chimako
113
スッゲーな・・・最後のページを読み終えた直後に出た言葉。品は良くないが心の底から「すごいな、あんたたち」と二人の傍らでほくそ笑んだ。仲間として。脱帽です。サンタクロースの正体が分かった時、すべてに合点がいった。おんぼろ飛行機ウィッジョンと共に積んだ莫大な金と宝石。今後二人にどんな人生が待っているのか。大金を手にした時人間としての本性が現れる。「五万人も死んでいるのだから一人増えてもどうってことはない」そういって仲間を撃とうとした空将に抗議するグラントは軍人としての矜持を発揮した。腐らない人生を!2020/06/16