ハヤカワ文庫
深海のYrr(イール)〈中〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 568p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784150411718
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

内容説明

異変はさらに続いた。大規模な海底地滑りが発生、大津波が起きてヨーロッパ北部の都市は壊滅してしまう。この未曾有の事態を収拾すべく、ついにアメリカが立ち上がった。女性司令官ジューディス・リーのもとに、ヨハンソン、アナワクら優秀な科学者が世界中から集められ、異変の原因を探り始める。だがその矢先、フランスを襲った病原体が奇怪なカニの大群によってアメリカの大都市に運びこまれ、パニックを引き起こした。

著者等紹介

シェッツィング,フランク[シェッツィング,フランク][Sch¨atzing,Frank]
1957年、ドイツ、ケルン市生まれ。大学ではコミュニケーション学を専攻し、卒業後は大手広告会社でクリエーターとして活躍する。その後、ケルンで広告代理店と音楽プロダクションを設立した。その仕事のかたわら小説の執筆を始め、1995年にTod und Teufel(死と悪魔)で作家デビュー、同書はベストセラーとなった

北川和代[キタガワカズヨ]
ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みも

49
広範で膨大な知識が凝縮されており、丹念に細密に記述され生半可な素人の見識を凌駕する。その為、部分的には咀嚼しきれない専門用語と解説が延々と続き、しばしば寝落ちする様な事態にも陥る事になる。海洋生物や海洋科学全般に関する専門性は言うに及ばず、空母の艦内描写を含め軍事的専門知識や、イヌイットの現況と尊厳を踏みにじられた歴史にまで筆が及ぶ。異常事態に直面する人々の驚愕とともに、友情、軋轢、確執、煩悶、野心、そして親子の断絶やアイデンティティのの喪失をも絡めつつ、終始海洋汚染への警告が発せられる。津波描写は圧巻。2017/05/10

Tetchy

46
さらに上手いと思うのが、誰が最後まで生き残るか解らないほど、主要だと思われていた人物が物語半ばで犠牲者となることだ。特にシグル・ヨハンソンの良きパートナーであったティナ・ルンがなんと上巻で早くも退場してしまうのには驚いた。それからも印象深い人物が次々と姿を消す。この一種冷徹さを感じさせる物語展開は運命が人を選ばず、みな平等に分け与えられ、さらにこの物語で語られるクライシスが全く容赦ないことを印象付ける要素になっている。総勢37名の主要人物ほとんどにエピソードが織り込まれているからこれだけ長いわけだ。2010/05/21

absinthe

36
ストーリーは要約すると、大人しかった海洋生物たちが人類に対してまるで悪意を持ったかのように攻撃を始めるのですが、人類はなにが起こったのか理解できず、科学者を集めて究明と解決に乗り出すというものです。人類による環境破壊を攻撃と解釈した何者かがいるのかもしれません。ところで人類は情けなくも足並みがそろわず、国家間や役所間の壁に阻まれなかなか手を合わせることができません。その間にも次の災厄が……。といった話です。災厄の場面は、読みごたえがありました。

kochi

29
大陸棚のメタンハイドレートの崩壊による津波にで、北海ヨーロッパは、壊滅的な被害を受ける。続発する船舶の遭難、異常発生した甲殻類による毒物の拡散、海流の異常などの海からの脅威対して、米国を中心に人類もまとまりを見せる。いよいよイールの正体が明らかになる中巻。怒涛の下巻もまた、そしてまだ五百ページ!津波による被害の中に、イギリス、ノルウェーでの原発の冷却水循環システムの破壊〜放射能漏れがあった。本作は2004年の小説である。2014/08/07

ごま

28
怒涛の展開。ヨーロッパ北部が全滅し、アメリカもまた危機にさらされているわりには科学者たちに危機感があまりないような・・・。「敵」の正体が意外で驚きでした。どう話に決着がつくのか楽しみに下巻も読みます。2013/08/06

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