内容説明
ノルウェー海で発見された無数の異様な生物。海洋生物学者ヨハンソンの努力で、その生物が海底で新燃料メタンハイドレートの層を掘り続けていることが判明した。カナダ西岸ではタグボートやホエールウォッチングの船をクジラやオルカの群れが襲い、生物学者アナワクが調査を始める。さらに世界各地で猛毒のクラゲが出現、海難事故が続発し、フランスではロブスターに潜む病原体が猛威を振るう。母なる海に何が起きたのか。
著者等紹介
シェッツィング,フランク[シェッツィング,フランク][Sch¨atzing,Frank]
1957年、ドイツ、ケルン市生まれ。大学ではコミュニケーション学を専攻し、卒業後は大手広告会社でクリエーターとして活躍する。その後、ケルンで広告代理店と音楽プロダクションを設立した。その仕事のかたわら小説の執筆を始め、1995年にTod und Teufel(死と悪魔)で作家デビュー、同書はベストセラーとなった
北川和代[キタガワカズヨ]
ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
53
重厚長大とはまさにこのこと。しかし単に長くて厚いだけなら退屈を促すだけだが、驚くべきことに本書とはそれは無縁の言葉だ。一言で云うならば、圧巻。この言葉に尽きる。地球全体の7割を占める海だが、その正体はほとんど謎に包まれており、作中でも語られているがメタンハイドレードなる次世代エネルギー資源が地球規模で埋蔵されているのが発見されたのもつい最近の事だ。この未知なる神秘の世界で起こる世界的変事を大部のページを費やし、詳らかに作者は語っていく。神秘であるが故にそれが起こりえると納得してしまうような内容だ。2010/05/21
absinthe
35
どんな小説なのか表題からわからず、そういう意味でこういうナンセンスな表題はそれだけで面白いです。書店でチラリと見かけてどんな内容だろうと想像しながら手には取らず前を横切っていて、想像だけたくましくしていた本です。
ごま
33
メタンハイドレート層に大量発生したゴカイ、船を襲うクジラ、爆発するロブスター・・深海で何かが起こっている??という不穏な謎かけで上巻終了。分厚い上に海洋学や石油発掘の説明が端々に入り、とっつきにくい印象です。このままあと2巻、と思うと少々気が重いですが、話の行く末が気になるので続きも読みます。2013/08/05
kochi
28
ペルーの漁師の行方不明から始まる地球規模の海と海洋生物の異変。人類による環境破壊への警鐘か、それとも異星人の侵略なのか?上巻ではまだまだ全くわかりません^_^ ノルウェーを中心としたヨーロッパパートと、カナダを中心としたアメリカパートで、ストーリーが並行して展開し、科学者を中心とした登場人物の群像劇ぽくすすむ。こういうドキドキ、ワクワク感は久しぶりで、中巻、下巻がどのように収束して行くのか、楽しみ。2014/08/05
ntahima
27
ハードSFの舞台と言えば大宇宙が相場だが、この物語はもうひとつの宇宙とも言える深海で繰り広げられる。何人もの死者が出る内容なので不謹慎かしれないが大空に吸い込まれるようにジャンプし続ける鯨達の姿がとてもシュールだ。釣り餌として知られるゴカイが海底を覆い尽くすように蠢き、世界各地では猛毒クラゲが異常発生。さらにロブスターに潜む謎の病原体が猛威を振るう。環境汚染に対する地球の呻きか、はたまた世界的な陰謀か・・Yrrの正体は? 話は中巻へとなだれ込む。2010/03/19