内容説明
鷲は舞い降りた!ヒトラーの密命を帯びて、イギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立ったドイツ落下傘部隊の精鋭たち。歴戦の勇士シュタイナ中佐率いる部隊員たちの使命とは、ここで週末を過ごす予定のチャーチル首相の誘拐だった!イギリス兵になりすました部隊員たちは着々と計画を進行させていく…使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説―その初版時に削除されていたエピソードを補完した決定版。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
511
ヒギンズは初読。イギリスの作家なのだが、本書の主人公はドイツ軍将校とIRAの闘士という意表を突くキャスティング。この二人がそれぞれに男性的カッコよさを見せる物語。女性たちから見れば「とかく男たちというものは…」というところなのだが、彼らはそれぞれが置かれた運命に殉じていくのである。ヒロイズムという悲壮美を纏って。一方、女の論理を代表するのがモリイである。その正体を知ってなお、彼女はリーアムに言う「愛はまったく別の事柄なのよ」と。序盤は緩やかな進行だが、終盤は怒涛のスピードで突き進んで行く。破局に向かって。2022/08/03
マエダ
127
ドイツ落下傘兵がイギリスの首相チャーチルを誘拐する大胆な作戦”鷲は舞い降りた” 戦後冒険小説の最高傑作と言われる本書の内容の半分は史実に基づいていというから驚きである。ヒギンズ節を十分に感じることができ大満足である。2016/10/21
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
119
上梓から40年経った作品だが、やはり名作というものは色褪せない。第二次大戦中に計画されたチャーチル首相誘拐作戦。実際に半分までは事実であるという。どこまでが真実で何処からが創造か?歴史を知る私達は当然その結末がどうなるかも知っている。だけど、まぁそんなことはどうでも良い。兎に角ストーリーに引き込まれた。中心人物であるシュタイナー中佐だけでなく、脇を固める人物達も魅力的だ。久しぶりに読み直しましたが、私の中での評価は変わらず。冒険アクション物の名作だ。文句無しの五つ星。★★★★★2015/11/28
泰然
116
言うならば「基礎教養科目」としての戦争冒険小説。第二次世界大戦末期のナチス首脳幹部が計画した狂気的なチャーチル誘拐作戦。戦争組織の理不尽さと無情さの痛みと、抵えない不条理に対面するプロフェッショナル達の滅びの美学が読者の善悪の先にある「戦う人間」が存在する意味を突き付ける。勇敢冷静、聡明だが愚かなロマンチストでもある英雄的落下傘部隊長シュタイナ。国家の狂気のなか計画にあたる軍情報局幹部のラードル、知識人なIRA兵士のデヴリンなど魅力的人物の造形が敵味方の安易な区別の愚かさを諫めては冒険の様式美へと繋がる。2022/10/15
まふ
103
第二次世界大戦末期ドイツ軍が各地で苦戦を強いられている時、ゲシュタポ長官ヒムラーの秘密指令により英国チャーチル首相を静養先から誘拐する計画が企てられた。選び抜かれた優秀なドイツ軍特殊実行部隊が編成され、イギリスを憎む南アボーア出身の女性やアイルランドIRAの元勇士が、重要な役割を果たしノーフォーク地方の寒村を舞台に計画は実行に移される。しかし、ドイツ兵の些細な優しい心が計画を崩壊に導く。全体は虚実半々の大スペクタクルであり、手に汗握るスリル&サスペンス&ヒューマニティ物語であった。面白かった!推理100。2022/12/04