ハヤカワ文庫<br> ドイツの小さな町〈上〉

ハヤカワ文庫
ドイツの小さな町〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 325p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150405717
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

東西ドイツ再統一の気運高まるボン。今そこの英国大使館から職員が1人、機密書類とともに姿を消した。彼の名はリオ・ハーティング。現地採用の臨時職員にすぎないが、消えた機密文書が公になれば英独の関係悪化は必至。事態を重く見た英国外務省は、公安部のターナーを派遣、極秘にリオの行方を追わせる。ターナーは失踪した男の経歴、背後関係を探るべく、大使館スタッフにインタビューを重ね、リオの実像に迫ってゆく。果たしてリオはソ連のスパイだったのか?巨匠が自らの体験をもとに外交社会の虚妄を描き新境地を拓いた傑作スパイ小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

92
物語は実にシンプルだが、明かされた真相は実に複雑だった。ナチスの忌まわしい過去、1人のドイツ人の過去、そしてイギリスの政治的思惑が複雑に絡んだ物語であった。そしてこれまでのル・カレ作品にあるようにそんな大国の政治的駆け引きの中で犠牲となる者たちがいる。自身の信念をうまく利用させられ、自分が選んだ人生を歩んできたと思わされながら、その実、大国の政治原理という巨大な掌の上で踊らされていた運命だったことを我々は知らされるのだ。世紀を超えた現代でもネオナチの影がちらつき、その度に世界は不安を掻き立てられている。2024/01/30

bapaksejahtera

12
舞台は1960年代後半、当時の東ドイツの首都ボン。経済苦境でヨーロッパ市場への参入に活路を見出したい英国は(主人公が正しくブリテンと言え、と強調する場面があるのだが)、形成間近である欧州共同体への参画を図り、欧州諸国との外交交渉が始まる。これを機にドイツ国内では旧英国占領地区を中心に反英運動が起こる。こうした世界は今となっては老人読者でさえ解りにくい。そこに現地英国大使館で重要書類と共に現地雇用の男が消えてしまう事態が。対独関係の悪化を恐れつつ、英国政府は現地に公安部員を派遣するというスタートである。2022/05/04

茉莉

7
感想やレビューが少ないので期待せずに読み始めたのですが想像以上に読みやすく面白い話でした。物語の舞台は西ドイツの首都ボン、機密資料と共に消えたリオ・ハーティングを追跡するために外務省公安部から派遣されたアラン・ターナーが関係者にインタビューしながらリオの足跡を辿る。途中でスティード・アスプレイの名前が出たのでスマイリーが出てくる作品と世界観は同じなのかも?2015/03/24

kthyk

5
あとがきで訳者は「この小説は寝ころんでなんか読んではいられない。机のそばでメモをとりながら読まざるをえない。」と書いている。まだ東西ドイツは統一されておらず、首都はベルリンではなく「ドイツの小さな町」ボンであった頃の、英国大使館が舞台。現地雇いのユダヤ系英国人、臨時職員であるリオ・ハーティングが大使館から失踪する。英国外務省の公安部員であるアラン・ターナーがロンドンからボンに派遣される。アランが追うのは「人間」なのか「書類」なのか。この書のル・カレのテーマは「人間」という名の「非人間」と言って間違いない。2020/10/20

うめ

4
機密書類と共に姿を消した英国大使館の職員リオ・ハーディングとは一体何者なのか。上巻では主人公ターナーが他スタッフに色々と聞き込み続けますが、人物像がなかなかはっきりしてこなくて、本当にリオという人は存在するんだろうか…大使館総出で騙しているのでは…?と内心ドキドキしながらターナーと同様に私も五里霧中状態です。下巻を読むのが楽しみです。2020/01/29

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