ハヤカワ文庫<br> 火星年代記

ハヤカワ文庫
火星年代記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 395p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150401146
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

127
詩的な文章と美しい物語に目がいって、この小説の文明批評的な面を忘れがちになる。しかし、これは悲観的な小説である。物語の中で核戦争によって地球が滅びてしまうのだ。核戦争は絵空事ではない。つい最近もロシアとアメリカの間の緊張が高まって米の国防総省が定めるデフコンのレベルが3になったことがあった。これは核攻撃が近い状態である。幸いなことに現在は平和な状態を示す5になっているが、このレベルがいつ変化するか分からないのだ。デフコンが3になったことを踏まえて、最後の「百万年ピクニック」を読むと胸に迫るものがある。→2016/12/07

財布にジャック

98
SFというジャンルに疎い私が、感想を書くのが憚られるほど、傑作だと思いました。1950年といえば、私の生まれる前からこんな凄い本があったというのに、今まで読まなかったのを恥ずかしく思うほどです。本当にアメリカSFの古典的名作と銘打たれているとおりの名作中の名作でした。短編集ですが、すべてが繋がっていて長編のようにも感じられ、堅苦しくなくSF初心者の私にも、とても読みやすかったです。本当にお勧めです。2012/03/08

rico

88
何十年ぶりかの再読。既に過去になった「未来」をゆっくりたどる。・・・でもこんなに、苦い物語だった・・・?もちろん、ブラッドベリらしい美しく幻想的な描写は随所に溢れていている。古き良きアメリカへのノスタルジーも。その一方、登場人物たちは火星人も含めて全く「立派」ではない。むしろ、愚かで俗物で偏見だらけ。美しい物語に仕立てあげることもできたろうに。先の大戦の記憶も生々しい中、性懲りもなく東西冷戦やってる人類への怒りと絶望がそれを、許さなかったのか。かすかな希望を感じさせる結末は、地球人への挽歌にも思える。2022/11/08

はらぺこ

59
星新一が感銘を受けた作品らしいので読んでみた。 『地球の人々』の二度目の探検隊がアホっぽくて好き。でも『イラ』や『月は今でも明るいが』の雰囲気も好き。 6フィート1インチを巨人と言ってた火星人とその後に出てくる火星人達のイメージが違う気がする。まあ、地球人でも色々な人種がおるんで火星人も人種が有ると思えば別にええ事やねんけどね。 火星やなくても成立する話が多いから本題は皮肉や風刺なんでしょうね。2011/06/01

KEI

50
SFと言う事だがscienceは入っていない、「空想小説」だった。1950年に刊行された本の新訳。人類の火星への探検、それを受け入れない火星人との対立。突然の火星人絶滅、地球からの火星への植民地化、地球の核戦争、火星に残った人々の暮らしを年代順に記されている。【こういう景色を見れば、我々の愚かさはよく分かる。われわれはまだ、ロケットや原子核をおもちゃにして喜んでいる子供なのだよ。】まさに、ヒトのエゴを、火星人をアメリカの現地人と考えると、アメリカを痛烈に批判している本だった。 2020/07/08

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