出版社内容情報
凄腕ハッカーのチェ・グソンは、いかにして槇島聖護と出会ったのか? 新鋭が描く人気アニメのスピンオフ第1弾。縢秀星篇も併録
内容説明
“シビュラシステム”の調査のため、日本に潜入した工作員チェ・グソン。彼には、母国・朝鮮人民共和国に残してきた最愛の妹スソンがいた。しかし帰国を命じられた彼を過酷な運命が待ち受けていた―流浪のハッカーが槇島聖護に出会うまでを描く「無窮花」、執行官・縢秀星の人生を変えた料理にまつわるエピソード「レストラン・ド・カンパーニュ」の全2篇収録の『PSYCHO‐PASSサイコパス』スピンオフノベライズ第1弾。
著者等紹介
吉上亮[ヨシガミリョウ]
1989年埼玉県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒。2013年、『パンツァークラウンフェイセズ』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
79
新編集版8話を観た時に「この二人は会うのが早かったら案外、友達になれていたのかもしれない」と思ったグソンと縢君。目を開けてても前が真っ暗になる『無窮花』は何度、読んでも辛い。人間が残虐になれるのは想像力の欠如だけではない。「慈しみの心や幸福な思い出を破壊できる苦痛や絶望とは何か」を想像できることで最も残虐になれるのが人間。再読してグソンが娼婦の遣り取りに吐いたり、璃華子を淫売と見抜いて嫌悪した所。それと現実が分かってしまう場面が相まって、彼は妹が何をしていたか本当は分かっていたのだと思います。2014/12/29
よっち
70
チェ・グソンの過酷な人生と槇島に邂逅するまでと、執行官・縢秀星の人生を変えて料理好きにさせたきっかけを描いたサイコパスのスピンオフ・ノベライズ第1弾。最期で同じ場所に居合わせた二人ですが、異父妹・スソンのために生きてきたのに祖国のクーデターを機に暗転してしまったチェ・グソンと、執行官として生きる自分が残せるものを見出すことができた秀星のエピソードはあまりにも対照的で、一歩間違えばすぐに暗転するこの世界をよく表現していると思いました。秀星の物語はこういう世界観の中だけにとても救われた気分になるお話でしたね。2015/03/14
ごま
56
生まれや環境が苛烈すぎただけで、グソンが家族思いの普通の人間だったことにおどろき。槙島の元で働くくらいだからもっとぶっ飛んだ人間かと思ってたのに。それだけに無窮花は読むのがつらすぎてひたすらつらすぎた。描写に容赦がなさすぎる。救いが一切なくて落ち込んだ。読まなきゃよかったなという後味の悪さと、それでも話が気になるというジレンマ…。かがりの話は明るくてとてもよかったです。グソンの話とのギャップで泣けてきたくらい。どこかで見た感想に、これをアニメで見たいというのがあったけど、わたしもアニメで見たいと思った。2015/01/18
シ也
53
【再読】「ジェネシス」の3巻も出るし劇場版のノベライズも出るし... と言うことで、貸したまま紛失となっているこちらをまた買って読んだ。グソンがメインの「無窮花」は異邦人視点で日本が描かれるのが興味深いが、拷問シーンは何度読んでも顔をしかめてしまう。「レストラン・ド・カンパーニュ」は縢がメインでグッと来てしまう。にしても平山先生の「DINER」でもそうだったがこちらもまたハンバーガーが食べたくなってしまう2016/02/18
絹恵
45
大切な人を幸せにしようとすることが自分自身の幸せになるということがエゴだと言われても、それでも人を救うことが出来るのは人しかいないのだと思います。だからこそ誰もが同じ最大幸福の永続よりも、それぞれのかけがえのない完璧な瞬間を望みます。記録に残ることと記憶に残ること、この事実の中にある真実を自分で決められるのなら、本物を見る眼を持つ彼と綻びを縢る心を持つ彼、彼らの笑顔がそこにあった証を見ました。2014/09/26