内容説明
惑星マーティンの支配をめぐる裏交渉が明かされる「併呑」を始め、ラフィールと出会う前のジントが目撃したアーヴの真実に迫る「嫉妬」、ジントとサムソンが出会う「着任」、突撃艦搭乗直前のエクリュアの心情が語られる「童友」、ラフィールの修技館入学を祝う宴の模様を描く「祝福」、領地に向かうジントが新居を買う「転居」など、本篇では語られざるアーヴの歴史に隠された真実を暴いた、書き下ろし「墨守」を含む全12篇。
著者等紹介
森岡浩之[モリオカヒロユキ]
1962年兵庫県生まれ。京都府立大学文学部卒。サラリーマン生活を経て1991年「夢の樹が接げたなら」で第17回ハヤカワ・SFコンテストに入選、同作品が「SFマガジン」誌に掲載され、作家デビューを飾る。入選後は、同誌を中心にシリアスなSF短篇の発表を続け、1996年『星界の紋章』全3巻を、早川書房より刊行。特異な銀河帝国を舞台にしたこの作品は、エンターテインメントの楽しさと、豊かなSF性をあわせ持つ、新しいかたちのスペース・オペラとして高く評価され、第28回星雲賞を受賞し、テレビ・アニメ化された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
92
”星界”シリーズ短編集の第2巻。12編の短編で編まれている。ハイド伯国の成り立ちや、ジントが惑星デルクトォーの過ごしたエピソード。サムソンの翔士時代の話。今まで殆ど語られることのなかったエクリアの昔話。アストリア千翔長のエピソード等々、本編シリーズで活躍する面々の過去の物語が、ふんだんに盛り込まれた贅沢な1冊。星界ファンなら読んで損はないという出来栄えだと思う。ただ苦言を呈するなら本編をもっと早く書き進めてほしい…… くらいでしょうか。2016/09/27
クナコ
21
再読。「星界」シリーズ短編集第2巻。本編に出てきた個性的なキャラクターの過去や本編の隙間にあった話が主。どれもこれもシリーズ本編を楽しむのに必ずしも必要なものとは言わないが、著者の創造した独自のSF世界の構造や帝国の仕組みを楽しむのには役立つ。特異なのが後ろから数えた2編。前巻や本編でたびたび「アーヴは遺伝子的に種族全体へ反抗できない」と説明されているが、この2編はそのアーヴ社会で起きた2件の反乱、反抗について語られている。アーヴは人から特殊化した存在であり、良くも悪くも極端で、それが面白い。2019/06/18
美周郎
11
前巻よりシリアス成分多め、こういう方向のが好み。2019/11/04
あかつや
10
12編集録。断章の2巻目は全体的に真面目。前の巻でやりすぎたと反省したのか、セルフパロディ的なおふざけ話が今回は全く入っていなかった。あれはあれでけっこう好きだったのに残念だ。同人誌即売会の話とかまた読みたかったぜ。でもまあスピンオフとしてはこっちが正統だな。作品世界をさらに掘り下げる内容になっている。面白かったのは帝国内の反乱を扱った2作「変転」「墨守」。アーヴも一枚岩じゃないんだな。まああの性格に付き合うのはしんどいって人もいるか。「嫉妬」はジントの過去話。これはちょっとおふざけの雰囲気が残ってる。2021/05/15
dorimusi
7
短編集。本編に出てるのかもしれんけど覚えのないキャラの話しはちょっと……謀計のオチはちょっと予想したけど法等に!?って感じで楽しめたけど。 こういうのも世界観が広がっていいけど、本編がちゃんと出ててこそだと思う……2023/07/30