内容説明
戦地において友軍への誤爆という罪を犯した男―ディムズデイル=ボイルド。肉体改造のため軍研究所に収容された彼は、約束の地への墜落のビジョンに苛まれていた。そんなボイルドを救済したのは、知能を持つ万能兵器にして、無垢の良心たるネズミ・ウフコックだった。だが、やがて戦争は終結、彼らを“廃棄”するための部隊が研究所に迫っていた…『マルドゥック・スクランブル』以前を描く、虚無と良心の訣別の物語。
著者等紹介
冲方丁[ウブカタトウ]
1977年岐阜県生まれ。早稲田大学中退。在学中の1996年に『黒い季節』がスニーカー大賞金賞を受賞してデビュー。2003年の『マルドゥック・スクランブル』(ハヤカワ文庫JA)で第24回日本SF大賞を受賞、「ベストSF2003」国内篇第1位に輝く。以来、小説・コミック・アニメ・ゲームといったメディアを超えるエンターテインメントの創り手として注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
55
特異な文体から生まれるスピード感と凝縮された内容が凄まじい。いきなり大量の人物が出てくるのでかなり面食らう部分はあるがここは細かいことは気にせず作品の勢いに乗るのが良しと思われる。2011/09/12
いおむ
27
再読!「〜スクランブル」ではターミネーターばりに情緒欠落したようなボイルドが、人間味を充分感じさせるウフコックのパートナーとして活躍。グラウンドゼロに向けてのカウントダウンがせつない。2023/03/06
UK
25
スクランブルでは悪役だったボイルドの真っすぐな姿勢に驚く。なんだ、好漢とも言えるくらいじゃん。これは面白そうだ。ただこのサイバーパンク調の体言止めの文体はちょっと好みではないな。読者に行間というか、言葉の間をつながせるのって、ある種怠慢じゃないの、とぶつぶつ言いたくなる。一気に2へ。2017/07/17
ぜんこう
21
なんか読んでいて、もしかして「マルドゥック・スクランブル」がSTARWARS IV~VIで、本書からがSTARWARS I~IIIみたいなのかな?って思った。 ボイルドがダース・ベイダーみたいな役回りで、この「マルドゥック・ヴェロシティ」がいかにしてボイルドが「マルドゥック・スクランブル」のボイルドになってしまったのか・・・この先の2~3を読むと違うかもしれんけど(^^;) それにしても仲間が個性的な面々で面白い。ちょっとグロいとこもあるけど疾走感というか飽きが来ないで読み続けられる。2018/03/10
緋莢
19
ディムズデイル=ボイルドは、戦地で友軍への誤爆という罪を犯した。肉体改造のために軍研究所に収容されたボイルドを救済したのはネズミのウフコックだった。知能を持つだけでなく、万能兵器であるウフコック。そんな時、彼らを“廃棄”するための部隊が研究所に迫っていた。 2016/06/07