内容説明
不治の病に冒された夫婦が異境の地アフリカで得たものは…。栗本薫が個の終焉、そして種の終焉を透徹した目で描き出す〈滅びの風〉シリーズの「巨象の道」、平安時代の陰陽師・阿倍晴明にまつわる怪異譚を夢枕獏が描く「すいき」、ネットワーク上から逃げ出したコンピュータゲームのアイドル・キャラクター“京美ちゃん”を捜し出すため、サイバースペースへ念力で潜り込んだソフトハウスの若手社員の奮戦記、東野司の「京美ちゃんの家出」、第13回ハヤカワ・SFコンテスト入選作、柾梧郎「邪眼」など厳選した13篇を収録する年刊アンソロジイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
酔花
5
本格SFあり、ホラーあり、ファンタジーありのバラエティに富んだ1987年。既読5作を除いて、特に面白かったのが大原まり子「黄金の小麦の国で」と鏡明「アメイズド&コンフューズド」 大原まり子の描く世界はひたすらに甘美で叙情に満ちている。鏡明をちゃんと読んだのは今回が初。評論家としての印象が強い氏であるが、小説家としての評価も付け加えなければ。「アメイズド&コンフューズド」は木星で発見された迷路とそこで見つかったモザイク状の人物という魅力的な設定が見事。他のシリーズ作品も読んでみたい。2015/03/09
記憶喪失した男
0
柾悟郎「邪眼」がとにかく傑作だった。文章は下手くそでちょっと下品だけど、脳の人格所有権について、深く考えさせられるものだった。他にも、面白い短編がいくつかあった。大原まり子のテレビが大量に置いてある部屋も印象深い。
BULL
0
25年前の作品ではあるがテーマが秀逸なおかげか今でも古臭さを感じずに読める作品ばかりで驚いた。「ラッキーカード」「巨象の歩み」「屋根の上の交響楽」の三点が特にお気に入り。2013/06/04
Q_Q
0
このシリーズつらつら読んでて、SFなんでたいてい舞台が未来なんだけど昭和直結の未来なんだよね。スマホやネットが繋がない未来はパラレルワールド層の上のSFな感じでおもしろい。2013/02/01
1977年から
0
1988年