内容説明
16世紀のロンドンで、妖精王国の王位争いが始まった。勝敗の鍵を握るのは行方不明の妖精王子。妖精女王オリアナと赤の王の二派に分かれた妖精は、王子を見つけるために人間たちを仲間に引き入れた。書籍商のアリスは、友人の占い師マージェリーとともにこの騒動に一役買うことになったが…。エリザベス女王や劇作家クリストファー・マーロウら、実在の人物をも巻きこんでの妖精戦争を描くアメリカ図書賞受賞作家の話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
85
前半かなり苦戦したけど、頑張って読んでよかった。ペストが蔓延する16世紀ロンドン、市民や宮廷をも巻き込んで妖精達の戦いが始まる。書籍商や劇作家、貴族たちの暮らしぶりも興味深い。実在の人物や史実も踏まえているらしく、知識があればもっと面白く読めただろうと思うと少し悔しい。マザーグースを思い出すファンタジー世界だった。2019/12/03
花林糖
19
題材と時代が好みで期待して読んだら大当たりで、とても良かったです。エリザベス一世の治世のロンドンが舞台。夫を亡くした書籍商のアリスを中心に話が進む。妖精の争い・宮廷での陰謀争い・錬金術や魔女狩り(の様なもの)に密偵等、この時代ならではの材料が盛沢山で読み応えあり、中盤以降がとても楽しく先が気になり殆ど一気読みでした。妖精のブラウニーがお気に入り。2019/12/26
斑入り山吹
2
なかなか良かった。しかし登場人物が多くてけっこう込み入っていて戸惑ってしまった。トムとトマスがいるし、クリストファーのあだ名がキットだったりするし、カバー折り返しの一覧を見ないと辛かった。主人公が夫に先立たれた50がらみの女というのが、けっこうフィットした。エリザベス朝のロンドンが舞台なのだが、そこの知識があるとイマジネーションをかき立てられて盛り上がるだろうに、もったいない。そういやビクトリア朝ロンドンの話も読んだことがあるが、そっちもからっきしだったなぁ。妖精の女王の出てくるモチーフはおなじみのもの。2011/11/24
栗淳
2
最後の解説を読むまでこの本が歴史ファンタジーというジャンルだという事を知らなかった。登場人物も実在の人物で詳しく紹介されていたけど、知らない人ばかりだよ。しってたらもっと面白かっただろうな。これから読んで見ようと思う方はチェックしてみるといいかもしれません。 前半は政治の話などが多めで若干だれるものの、後半の王位継承戦争で一気に盛り上がる。あと、錬金術なども出てくるのでそういうのが好きな方も楽しめると思います。2011/10/01
けいりん
1
むちゃくちゃ面白いよ、これ! なぜ無名かつ版元品切れなのか。解せぬ。 エリザベス(1世)女王統治下のイギリスを舞台に、書籍商や劇作家たち、宮廷の陰謀、そして妖精達の戦いが絡み合う。派手な展開は少ないし何が起こっているのかわからず焦れる部分もあるけど、書籍商や当時の実在の劇作家たちの様子が生き生きと描かれていて飽きない。劇作家は人数が多く似た名前もあるけどじき慣れる。それぞれに見せ場はあり、皆実在の人物なので解説を頼りに調べて見るのも一興。クライマックスは目が離せない。結末もしっとり素敵。オススメ。2017/08/18