内容説明
最愛の妻たる美女ヘレネーを誘惑されたことに腹を立てたスパルタ王は、トロイアに宣戦を布告。ふたつの都市の間に、ついに戦いの火蓋が切って落とされた。おりしも、滅亡の予兆のごとき大地震がトロイアの街を襲来。しかも不吉なことに、太陽神の神殿では神の御使いたる大蛇が死んだ。混乱の中で、カッサンドラーは、神々までがトロイアを滅ぼそうとしている夢を見るが…。トロイア戦争に想を得た大叙事詩、堂々の完結。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大熊犬
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伝説の予言者カサンドラの語るトロヤ戦争の物語。珍しいのはヒロイン、カサンドラの視点。女王が治め、男が戦う世界観。幻覚でも説明出来る予知、自己暗示で説明出来る神の降臨。
ホームズ
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1996年7月17日初読
金木犀
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FT153 1991.8初版 ファイアーブランド3
chloe
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アガメムノーンがそれまでの鬱憤晴らしを全部背負わされちゃったような急展開は作者の茶目っ気だろうか。若いのに諦念に包まれ、戦の激動の中でもただ一人淡々としているカッサンドラー視点でトロイアの滅亡が描かれる。出てくる男性たちがほぼ全員うんざりするクズだが、積りに積もったストレスを力技で一掃してのけるのも疲れ果て冷めてしまったカッサンドラーではない。押しつぶされ消え去ったかと思われた地母神の怒りが顕現したかのような『彼女』がついに現れ座をさらってしまったのには「そうきたか」と感嘆した。最終章はちょっと蛇足かな。2022/09/20