ハヤカワ文庫<br> 悪魔の機械

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ハヤカワ文庫
悪魔の機械

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  • サイズ 文庫判/ページ数 444p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150201289
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

不肖の息子とはよくいったもので、ダウアーは天才発明家だった父の築いた評判を落とすことしか能のない時計職人だった。この出来の悪い男の店に、ある日、黒い肌の怪人物が出現。父の作った得体の知れぬ科学機械を修繕してほしいという。しかし前金として銀貨を置いていったが、これがまた男の容貌にひけを取らぬほど奇妙な代物。あまつさえ、この仕事を引き受けたことから、ダウアーの身辺の奇怪な事件が起こり始めた!霧と煤煙にけぶるヴィクトリア朝の英国を舞台に奇人・怪人・狂人、果ては海底人までが暴れまわるスチームパンクの傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skellig@topsy-turvy

13
コミカル・スチームパンク。ヴィクトリア朝英国を舞台に奇人変人が東奔西走する中、鈍感でお人よしの主人公はまとも紳士。未来を見た詐欺師、ジキルとハイドばりの二面女、頭イカれた貴族のお爺ちゃん、人間顔負け自動人形に海底人。見事に変なのに囲まれた主人公が不憫。笑 地球の破壊を防ぐ方法もまさか…最後まで良い感じでふざけてる。スチームパンクなのだからもう少しメカメカしく、ぶっ飛んだ機械や文化を展開したらもっと面白いのでは。P・K・ディックが作者の第一長編に惚れ込んで売り込みに走ったというのは、面白いトリビアだった。2013/06/12

しんかい32

4
ダメ人間inヴィクトリア幻想。抱腹絶倒の悪趣味ファンタジー。雰囲気とノリは全く違うが、「死んだ父親の手の中で踊らされる無力な主人公」という設定は同著者の『ドクター・アダー』と一緒。こういう状況になにかトラウマでもあるのか。『モーロックの夜』も翻訳希望。もちろん同じ訳者で。2010/02/24

マンハッタン距離

3
[4.5] 巻き込まれ型のダメ主人公の前に次々と現れる狂人と、法螺話のようにスケールの大きい謎理論が、予想不可能な展開をみせる傑作馬鹿SF。「スチームパンク」という言葉が生まれるもととなった作品であるというが、「サイバーパンク」という言葉を広げた『ニューロマンサー』がそうであるように、現実世界とは異なる仕方で発達した技術が前面に押されるのではなく、ホラー・ミステリといった異なるジャンルを上手に組み込んだ質の高い作品であったからこそ、新機軸としてのスチームパンクが普及したのだと感じる。2017/05/21

Kepeta

2
グラス・ハンマーを再読した勢いで、かねてとてつもなく面白いと聞いていた本書を中古でゲット。いやーメチャクチャな話で確かに面白かった!マッド・ヴィクトリアン物は時代自体が面白すぎて(特に映像作品では)素材を料理しきれないものが多いが、本作と「アヌビスの門」は例外。イカレたキャラが続々登場し、支離滅裂で想定外の事態が次々に起こる中、超鈍感力を持つ主人公が酷い目に遭いつつ何故か世界を救ってしまうお話。とにかくキャラがみな魅力的だが、何と言ってもスケープが最高。グルーヴ感溢れるセリフ回しにノックアウトされました。2019/08/13

まるいち

2
この本が書かれたことでスチームパンクという呼称が生まれた。滅茶苦茶な設定、破天荒な展開、悪趣味満載のユーモアで綴られた、大傑作小説。巫山戯たお話だからこそ、擬古文に徹した堅苦しい文体なのだし、この馬鹿馬鹿しさを美味しく味わうための舞台設定なのだと納得出来る。 パンクロックが登場した時と、その後ファッション化したパンクの違いに相当する差が、本作と二十一世紀のスチームパンクにはありそうだ。呼称は同じでも別物と考えておきたい。どちらも別物として楽しめばいいのだろう。

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