出版社内容情報
日本で発売後即10万部を突破した『三体』著者劉慈欣による「円」など7作家13作品をリュウが精選したアンソロジー、緊急文庫化!
内容説明
天の秘密は円のなかにある―円周率の中に不老不死の秘密があると聞かされた秦の始皇帝は、五年以内に十万桁まで円周率を求めよと命じた。学者の荊軻は始皇帝の三百万の軍隊を用いた驚異の人間計算機を編みだす。劉慈欣『三体』抜粋改作にして星雲賞受賞作「円」、貧富の差で分断された異形の三層都市を描いたヒューゴー賞受賞作「折りたたみ北京」など、ケン・リュウが精選した7作家13篇を収録の傑作アンソロジー。
著者等紹介
リュウ,ケン[リュウ,ケン] [Liu,Ken]
1976年、中華人民共和国甘粛省生まれ。弁護士、プログラマーとしての顔も持つ。2002年、短篇「カルタゴの薔薇」でデビュー。2011年に発表した短篇「紙の動物園」で、ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞という史上初の3冠に輝く。その後も精力的に短篇を発表するかたわら、中国SFの翻訳も積極的におこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
469
中国の若手作家たちのSF小説集。編者のケン・リュウは、もはやすっかり斯界の重鎮であるかのようだが、まだ弱冠44歳。ここに紹介されている7人(うち3人は女性)の作家による13篇の作品は(おそらくは意識的に)ヴァラエティに富んでおり、現代中国のSFのおおよその動向も知ることができる。夏笳のようなファンタジックな作品もあれば、超管理社会を描いた馬伯庸の「沈黙都市」や、格差社会を衝く郝景芳の「折りたたみ北京」などの社会派もある。ただ、残念ながら全く未経験のSF、魂の震えるような作品にまでは至らないか。2020/04/15
徒花
168
おもしろかった!三体でも話題の中国SFアンソロジー。いろいろな中国人作家による、多種多様な作品が収録されていて読み応えたっぷり。ファンタジーっぽいものからハードSF系のものまである。表題作の他には『沈黙都市』『円』もいいけれど、個人的には最後の『神様の介護係』が最高。ユーモアたっぷりのコメディちっくな物語かと思いきや、後半では超スケールの大きな物語として、ほっこりした不思議な読後感にさせてくれる。好きだわー。2020/03/08
キムチ27
73
中国八千年の歴史 背後に広がる銀河系宇宙。圧倒されんばかりの豊穣な空間に遊ばせてくれた読後。個人的には「三体」よりとっつきやすく、アンソロジー特有の「感覚的に合致する」お気に入りに埋没できる楽しみも貰えた。執筆陣の主流は30歳台、パワー、才能❣圧巻。とは言え背後に習近平の顔のちらつき。良かったのは「折りたたみ北京/郝景芳」~人がひしめく爆発寸前の中国・・激しい貧富の差。3層の世界が24時間ごとに入れ替わる。折り畳まれる壁に挟まれる老刀の呻きは今生きる人々を代弁するようで切なく痛い。「百鬼夜行街/夏笳」~2021/03/15
ひさか
66
2018年2月ハヤカワSFシリーズ刊。201910月ハヤカワSF文庫化。7作家13編+エッセイ3編の中国SFアンソロジー。表題の折りたたみ北京が、そのままの折りたたまれた世界のお話で笑ってしまいました。秀逸なアイデアのファンタジーです。やはり、リウ・ツーシンさんが、抜きん出ています。2020/11/23
ざるこ
60
中国7作家12篇。一番印象に残るのは馬伯庸「沈黙都市」発言もウェブ上でも言葉を規制される世界。言葉を抑圧されることにストレスを感じつつ表現の自由は絶対必要で世の変化を形作っているのだなと思った。続きが気になるラストも◎。児童文学のような夏笳3作品も可愛げがあったり幻想的だったりで好み。劉慈欣「円」始皇帝暗殺未遂?→数学。思わぬSF展開とスケールの大きさに驚く。そんなハードな物語からコミカルな「神様の介護係」で思わずファンになりそう。どれも中国の現実ともとれる社会的背景が伝わってきたりする。それもまた楽し。2021/01/27