出版社内容情報
余命わずかのマーティンは幼い息子を見守るため、脳をスキャンし自らのAI化を試みる
内容説明
記者のマーティンは、イランで歴史的な政権交代の場に居合わせ、技術が人々を解放する力を実感する。15年後、余命を宣告された彼は、残される幼い息子を案じ、ヴァーチャルリアリティ・システム“ゼンデギ”の開発者ナシムに接触する。彼女の開発した脳スキャン応用技術を用いて、“ゼンデギ”内部に“ヴァーチャル・マーティン”を作り、死後も息子を導いていきたいと考えたのだが…。現代SF界を代表する作家の意欲作。
著者等紹介
イーガン,グレッグ[イーガン,グレッグ] [Egan,Greg]
1961年、オーストラリア生まれ。数学の理学士号をもつ。1980年代末から本格的な作家活動を開始した。長篇『万物理論』と『ディアスポラ』(ハヤカワ文庫刊)で星雲賞を2年連続受賞した。また、短篇「プランク・ダイヴ」でローカス賞、「祈りの海」でヒューゴー賞・ローカス賞を受賞。世界各国のSF賞受賞の栄誉に輝いている
山岸真[ヤマギシマコト]
1962年生、埼玉大学教養学部卒、英米文学翻訳家・研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月世界旅行したい
34
他の長編と比べるとかなり現代に近い未来のため他作品ではないようなディテールが出てきて新鮮で楽しかった。一番に感じたのはイーガン自身の変化というより、昔の長編が90年代の作品であったのに対して、この作品は最近に書かれた物なのでその変化が一番大きく感じた。未来を描く作品でも書かれた時代は逃れられないと再び認識。2015/07/05
かわうそ
29
イーガンの作品としては非常に読みやすくアイデンティティに関する考察は興味深いんだけど、「ゼンデギ」内のゲーム描写は全然面白そうじゃないしお話としても最後まで盛り上がらず読んでいてあまり楽しくなかった。SF的には細部まで考え抜かれたテクノロジー描写が素晴らしいみたいな評価はあるのかもしれませんが。2015/08/07
若布酒まちゃひこ/びんた
29
イーガンの小説は物語じゃないといつもおもうのだけど、それはイーガンが文章により星ひとつ、あるいは世界をモノとしてつくろうとする意識みたいなのを感じ、物語と呼ばれる筋はその副産物におもえるから。この小説もこういった「イーガンらしさ」を感じ、550ページ使って社会を作り上げた印象をもった。だけど、なんだろう。「らしくない」モラルの話に回収された雰囲気だったのを、すごく微妙に感じた。2015/08/04
カザリ
28
飛ばし読みで20分で終了してしまった。展開してないとおもうのだが。2015/07/15
亮人
26
まずイーガンにストーリー性なんて求めてないのに、物語を語ってるのが違和感。表題のزندگیは、イラン版体感型バーチャルゲーム世界。死期が迫った父親が、息子を導く自分の分身をその世界に残そうとする。脳の刺激に対する反応のパターンを記録して自分の分身をバーチャル上に残そうとするサイドローディング技術など、SF的近未来は興味深く読んだ。だがそこに至るまでの、イラン民主革命や父子の交流やイラン古典を基にしたゲームなど、物語が長く感じた。いや苦悩や感動は伝わったが、イーガンにはもっと科学の最果てや超理論を求めたい。2015/09/14