内容説明
ただ一人の乗員を目的地に届ける片道分の燃料しか積んでいない緊急発進艇に密航者がいたら、パイロットのすべきことはただひとつ―船外遺棄だ!だがそれが美しい娘で、しかもたった一人の兄会いたさに密航したのだとしたら、あなたならどうする?…SF史上に燦然と輝く記念碑的名作「冷たい方程式」をはじめ、名作、傑作の誉れ高い作品全9篇を厳選。旧版からの2篇に新たに7中短篇を加えたSF入門書の新版登場。
著者等紹介
伊藤典夫[イトウノリオ]
1942年生。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
106
表題作について。いやぁ~面白かったなぁ、これ名作でしょ。マイケル・サンデルの政治哲学を真っ先に思い浮かべてしまいました。しかし、本書本作では選択肢は1つ、加えて拒否権ナシなんですよね・・・・・考えることすらできないという点でトレードオフは成立しない。そうすると、残りの時間は本書が辿ったこと(ネタバレのため未記載)が、最も正しかった、つまり正解だったのかもしれないと思いました。2023/03/29
藤月はな(灯れ松明の火)
72
実はこの本は中学校の図書室に所蔵されていたのですが、数学嫌いだった私は「数式が出てきそうだな」と思い、読まず嫌いしてました。「みにくい妹」での『シンデレラ』裏話風に思わず、ニヤリ。「危険!幼児逃亡中」は『童夢』や『キャリー』を思い出し、遣る瀬無い気持ちで一杯になりました。そして表題作が、表題作がぁぁああ!!てっきり救われるか、お兄ちゃんが血清がいる人間を殺して「もう、お帰り」っていうかしかないと思っていたのに・・・・。そして「ハウ2」はカレル・チャペックの『ロボット』での依存する人間を表していて怖いかも。2014/09/02
ntahima
60
表題作。母船から離れ辺境惑星に救援物資を運ぶ小型宇宙船。悪戯心から密航を試みる少女。しかし小艇には操縦士1人分の重量を運ぶ燃料しか積まれていない。少女を宇宙空間に遺棄することで救助を待つ6名の命を救うか、直接手を下さないことにより結局少女と自分を含めた8人全員が死ぬかの決断を迫られる男。場面設定はSFだが映画化というより二人で演じる状況劇にピッタリのテーマ。どんな奇想天外な解決策が用意されているのかと頁を捲るのももどかしく読み進める。その結末は… 善意と悲嘆の記憶。この小品を復刊する為に編まれた短編集か?2012/04/13
ざるこ
59
SFアンソロジー9篇。いきなりお気に入りシェクリィの「徘徊許可証」このどこ向いてる?って感じを貫くのが好き。筒井康隆臭ぷんぷん。アシモフ「信念」無意識のうちに体が浮いちゃう男。不条理に対する人間の心理を逆手に取って勝利するロジャー素晴らしいよ。「冷たい方程式」残酷だろうが答えはひとつ。悲しい結末を迎えるまでに情愛溢れてます。「危険!幼児逃亡中」少女の散歩で始まるのに世界的危機に発展して手に汗握る。ベストは「ハウ=2」なんでもDIYな時代。DIYがDIYを生んじゃう皮肉。笑えるけど未来は暗いな。良作揃い。2020/10/10
いちろく
41
自分だったらどうするか?密航者の影響で予定していた航海が出来なくなる可能性が提示される表題作。宇宙航海中という、有無を言わさず選択をしなければならない状況だからこそ、より説得力のある展開。戸惑わない為のルールであり規律でもある。「立入禁止」、意味があるから掲示されており、その事を改めて意識させられた内容だった。例えば、日常に溶け込みすぎている交通標識でも、一つひとつ意味があり命を守る事にも繋がっていると、改めて。2020/09/26
-
- 和書
- 英語頻出問題の総整理