内容説明
時は“人間の再発見”の第一世紀。銀河随一の富める惑星ノーストリリアで、ひとりの少年が地球という惑星を買い取った。少年は地球へやってきて、なみはずれた冒険を重ねたすえに、本当にほしいものを手に入れて、無事に帰ることができた。お話はそれだけだ。さあ、これでもう読まなくていい!ただ、こまかいところは別。それは、この本のなかに書いてある。ひとりの少年が出会った真実の愛と、手に汗にぎる冒険の日々が…。人類補完機構の驚異の世界。
著者等紹介
スミス,コードウェイナー[スミス,コードウェイナー][Smith,Cordwainer]
本名、ポール・マイロン・アンソニー・ラインバーガー。1913年生まれ、1966年没。中国、日本、フランス、ドイツで成長期を過ごし、十代後半には6カ国語に通じていた。17歳のときから外交交渉に関係し、第2次大戦中は米国陸軍情報部員として、朝鮮戦争では陸軍中佐として軍務につく。外交政策協会のメンバーで、ジョンズ・ホプキンズ大学のアジア政策論の教授であり、極東問題と心理戦争に関する全米有数の専門家であった。1950年、「スキャナーに生きがいはない」がファンタジイ・ブック誌に掲載され、SF界にデビュー
浅倉久志[アサクラヒサシ]
1930年生、1950年大阪外国語大学卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Small World
29
人類補完機構の唯一の長編を読了です。恋愛が絡むので、いつもよりマイルドな印象で、異質さが薄まってる分、短編の方が好みかもしれません。w でも、地球のいびつな階層が見える後半は、やっぱりコードウェイナー・スミスって感じで面白かったです。ラストのそれはどうなんでしょうね、やや、判断悩みますが、それがノーストリリアってことなのでしょうか。2017/10/20
かわうそ
29
人類補完機構シリーズ唯一の長編。決してつまらないわけではなく、シリーズ短編とのつながりに気づく楽しみも大きいんだけど、どうしても短編の骨格に肉付けしたように感じられてしまうのがちょい残念。2016/11/29
bowmorelover
23
コードウェイナー・スミスの唯一の長編小説。お話は簡単。昔、一人の少年が地球という星を買い取った。少年は地球で並はずれた冒険をして、自分の欲しいものを手に入れ、無事に帰ることができた。話はそれだけ。スミスの美しい文章にちりばめられた設定。ほかの短編に出てきた用語が出てくると、お!と思う。この作品はスミスの集大成に思う。面白い?面白いに決まってる!だから読みなさい!!2012/02/23
アプネア
19
プロットが極限までシンプル。地球を買った少年が、そこに行って帰ってくるだけの話で、逃走と追跡なんかなく。むしろハラハラする場面は主人公があえて無茶をやる部分で、ク・メルと一緒にツッコミました。まぁでも、短編集を先に読んでおくほうが良いみたい。というのも、それぞれのキャラの見えてなかった部分や関連性が見えてくるし、最終的に非常に寓意に飛んだ深みのあるテーマが浮かび上がってくる。要は世界の見方の変容、そこから多様性の受容を促すってことなんですかね…。2020/10/30
Nat
19
手持ちの本がなくなったので、次男の本棚から一冊借りてみました。普段SFはあまり読まないので、初めは何となく違和感が‥。でも、段々に不思議な世界観に引き込まれました。ク・メルが魅力的。人類補完機構のシリーズの他の短編を読みたくなりました。何より驚きなのが、この不思議な小説が1960年に書かれ、作者は1966年に亡くなっているということでした。そんなに昔の作品だとは思いもしませんでした。このシリーズはまだ先の構想があったそうですが、作者の早世によって完結しなかったのが残念です。2019/02/20