内容説明
人類はついに過去への時間旅行を実現した。その技術を利用し、オックスフォード大学は、第二次大戦中、空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂復元計画に協力している。史学部の大学院生ネッドは、大聖堂にあったはずの“主教の鳥株”を探せと計画の責任者レイディ・シュラプネルに命じられた。だが、21世紀と20世紀を何度も往復して疲労困憊、とうとう過労で倒れてしまった!?SFと本格ミステリを絶妙に融合させた話題作。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。
著者等紹介
ウィリス,コニー[ウィリス,コニー][Willis,Connie]
1945年コロラド州デンヴァー生まれ。1967年、北コロラド大学卒業後、教師をつとめるかたわら小説を発表しはじめる。短篇集『わが愛しき娘たちよ』収録の「見張り」でヒューーゴー賞・ネビュラ賞を受賞した。1992年の『ドゥームズデイ・ブック』は、史学部の女子学生の中世への時間旅行を描き、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞。『ドゥームズデイ・ブック』の姉妹篇である、1998年発表の『犬は勘定に入れません―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』も、ヒューゴー賞・ローカス賞を受賞している。(以上、ハヤカワ文庫SF)
大森望[オオモリノゾミ]
1961年生、京都大学文学部卒、翻訳家・書評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
448
最初は間違えて下巻から読み始めたのかと思った。それほどに唐突な始まり方なのである。主人公(語り手でもある)のネッドが置かれていた状況は、第2次大戦下、空襲を受けた直後のコヴェントリー大聖堂の瓦礫の山の中なのだ。しかも、彼はタイムラグで意識もはっきりとしていない。前作『ドゥームズデイ・ブック』を読んでいることが半ば前提とされているなんて、作家のなんたる自信。本書はヒューゴー賞受賞作なのだが、およそそのイメージからは遠い(少なくても私には)。また、タイトルからも明らかなように本書は『ボートの三人男』⇒ 2019/10/03
KAZOO
79
SFミステリーとは言いながらユーモア小説の要素も収められていて、昔のイギリス小説のような感じです。イギリスの近現代史の素養があるとよけい楽しめる本ではないかと思われます。主教の鳥株という変な名前に最初は惑わされてしまいました。2015/07/24
ゆかーん
66
SFとは思えないぶっ飛び小説(笑)細かい設定は、森見登美彦氏の小説のようですが、SFの軸を崩さない所は流石です。時間旅行を楽しみつつ、登場人物の名前の多さに辟易することでしょう…。上司にこき使われ、過去へ未来へ飛ばされてばかりのヘンリー。2週間の安静が必要と言われた彼は、ヴィクトリア朝時代へ送られ、バカンスを過ごす予定でしたが、犬のシリルや猫のプリンセスの面倒をみるばかりで、ゆったり寝ることも出来きません…。彼は安眠できるのか⁉︎そして、ゴチャゴチャした物語の結末がどうなるのか、下巻に期待です!2016/07/13
鱒子
46
設定がよく飲み込めず、なかなか最初は入り込めませんでした。タイムラグで主人公が自分の状況をよく把握していないので、そこはムリもないかも…。下巻を読み終わったら再読します。ともかく、犬のシリルが可愛くてたまりません!そして、噂の人物、レディ シュラプネルの登場が待ち遠しいです〜(^^)2017/06/01
Small World
27
コニー・ウィリスの作品は長いものが多いので、年に一作ぐらいのペースで読んでいます。タイトルが印象的な本作ですが、いつも以上にユーモアたっぷりな感じがするのは犬のシリルや猫のアージュマンドがいい味出してるからでしょうね。相変わらず主人公はトラブル続きで疲労困憊ですw、読んでる方も出てくる人物が憶えきれず、多少、疲れますww。せめて、人物表があるといいのになぁ〜w。2019/11/15