内容説明
「この子がわたしの娘なの。生まれるのがほんの何年か遅くなったけれど」―待望の第一子となるはずだった女の子を失った科学者夫婦が選択した行動とは!?子どもへの“無償の愛”を量子論と絡めて描く衝撃の表題作、星雲賞を受賞した数学SFの極北「ルミナス」、著者が追究しつづけるアイデンティティ・テーマSFのひとつの到達点「ふたりの距離」など、本邦初訳2篇を含む7篇を収録する、日本オリジナル短篇集第3弾。
著者等紹介
山岸真[ヤマギシマコト]
1962年生、埼玉大学教養学部卒、英米文学翻訳家・研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
43
表題作は割と直球。全然違うけどブラックジャックのピノコを思い出した(笑)「行動原理」「真心」はこの作者の永遠のテーマか。「決断者」が一番楽しく読めた私はやはり変わり者なのだろうか?「ルミナス」はそんなにいい作品か?「ふたりの距離」はなかなか「オラクル」はそこそこ。2013/07/10
Aster
37
面白いけどハードすぎ。文理で分けたくないけど文系の人が読んで分かるんかこれ。それにしてもイーガンは文学的婉曲表現がハードさに取り込まれてて結局SF風の読み方(ドラマ・アニメ的、結論部分さえ分かればよい)をしちゃうね。2024/03/06
ニミッツクラス
30
06年(平成18年)の税抜820円の青背初版。同一性確立の金太郎飴イーガンの日本オリジナル短編集第3弾で、90~02年の7編を収録。「ふたりの距離」と「オラクル」が本邦初訳で、「ルミナス」以外は初出SFMで初書籍化。巻頭2編はインプラント物で、「真心」は“愛の固定”を問う。「ふたりの距離」はかなり面白い…18歳で有機脳をニューロコンピュータに交換できる。身体交換や自分のクローン、望むなら両性具有も…読み通せば最初と最後の同じ一文“ひとりきりで永遠を生きたいとは、だれも思わない”の真意が見える。★★★★☆☆2021/10/21
JACK
20
△ SF短編集。妻殺しの犯人を殺すためにナノマシンで良心を抑える男を描く「行動原理」。お互いを愛する気持ちが永遠に続く様に、脳のシナプスを固定する夫婦の物語「真心」。通常の数論が成立する世界と、それと両立しない数論が支配する世界の対立によって世界の崩壊が迫る「ルミナス」。人工の脳に意識を移し替えた夫婦がお互いをより理解するために大きな決断をする「ふたりの距離」。量子コンピュータによる人工知能を持つ娘の物語「ひとりっ子」他、全7篇。どれも難解で楽しめなかった。表題作は比較的読みやすいが…。2015/11/26
ふりや
18
グレッグ・イーガンの日本での第三短編集。訳者の解説によると、それまでの二作よりもハードな側面が強いとのこと。確かに、物理学や数学の記述は難解な部分もありますが、物語の面白さでぐいぐい読めます。短編集ですが、各話ごとに様々なSFガジェットが惜し気もなく投入されているのもワクワクするところです。『行動原理』と『真心』は脳内インプラントによる意識の改変を扱った作品。『ルミナス』は『暗黒整数』の前日譚で 、気になっていたので読めて良かったです。『ふたりの距離』はイーガン流のストイックなラブストーリーとも読めます。2021/04/05