ハヤカワ文庫
砂漠の惑星

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  • サイズ 文庫判/ページ数 319p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784150115661
  • NDC分類 989.83
  • Cコード C0197

内容説明

6年前に消息をたった宇宙巡洋艦コンドル号捜索のため“砂漠の惑星”に降り立った無敵号が発見したのは、無残に傾きそそりたつ変わり果てた船体だった。生存者なし。攻撃を受けた形跡はなく、防御機能もそのまま残され、ただ船内だけが驚くべき混乱状態にあった。果てなく続く風紋、死と荒廃の風の吹き抜ける奇怪な“都市”、貞察機を襲う“黒雲”、そして金属の“植物”…探検隊はこの謎に満ちた異星の探査を続けるが。

著者等紹介

レム,スタニスワフ[レム,スタニスワフ][Lem,Stanislaw]
1921年、ポーランド領(現ウクライナ領)リボフに生まれる。46年にクラクフに移り、大学で医学や哲学、理論生物学などを学ぶかたわら執筆活動をはじめる。51年の『金星応答なし』で一躍人気を博する。以来、宇宙版ほら男爵冒険譚ともいえる泰平ヨンシリーズなど、独自の批判的視点と想像力に満ちた話題作を次々に発表しつづけ、SF界で不動の地位を築いた。2006年死去、84歳

飯田規和[イイダキワ]
昭和3年生、昭和30年東京外国語大学ロシア語科卒、東京外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GaGa

52
初めて読みました。なぜ今まで読まないでいたのだろうか。これは素晴らしいですね。レムが追い求めていたテーマは今でも全く持って通用する。そして、安易な解決策がないところが秀逸。なのにディッシュの「人類皆殺し」のように救いのない内容ではない。相手を制圧しようとする人間の本能に対する愚かさを、ロハンが噛みしめるところは感激すらした。傑作です。2013/02/19

kochi

18
未知の惑星の探査途中で連絡の途絶えたコンドル号の調査のため、無敵号はレギス第3惑星に着陸し、老練な司令官の下、未知の敵からの攻撃を予想した警備体制をしいて惑星の調査を進めるが、やがて、第1の犠牲者が… 名作『ソラリス』と同じように未知の知性体(?)との邂逅を描いてはいるが、物理的な接触もあり、『宇宙船ビーグル号』より、もっと映画『エイリアン』に影響を与えていそうなホラーな雰囲気。さらに登場人物が多く、主人公が司令官の手練手管によりまんまと操られるところなど、「人間も怖い」と…2019/03/27

16
個人的にレムの作品というと「非常に思弁的なSF」というイメージが強かったのだけれど、これはエンターテイメントとしても一級の面白さを持つ作品だと思った。未知の惑星に降り立った無敵号のクルーが、様々な危機に対処していく過程が淡々と描かれる作品。執拗に様々な領域の学者たちが討論を繰り返し仮説を立て、さらに調査によって得られた情報をフィードバックして討論を繰り返す。しかしそれでも真実にたどり着けるとは限らない、というアンチ人間中心主義的な世界観は真の意味でSFの源流たる崇高美学を感じさせるものだ。2017/09/14

ニミッツクラス

10
レムのシリアス・ファンタジー長編三部作の3作目。惑星レギス3・・「琴座のはずれ」の宙域という表現が意味不明だが、レムの三部作の中では一番読み易いと思う。宇宙船や装備のテクノロジー、探検の現実的な段取り、戦闘シーンなどに心躍るし、それらがまったく功を奏さないというのも古くてなお新鮮。レム・テーゼは「エデン」で堪能させてもらったので、もはや怖いものなし・・邦題の地での冒険譚に終始するハズがない。無敵とは何か・・人智を超えた進化の果ての(無)生命形態か、それを首肯できる度量か、何より生還可能か。★★★★☆☆2012/02/19

yshigeru

7
「ソラリスの陽のもとに」同様、一種のファーストコンタクトもの。人間の知性は、ソラリスの海とは最後まで「かみ合う」ことがなかった。一方、レギス第三惑星の黒雲とは「激突」する。黒雲の正体は、有機物ではなく、金属の羽虫である。それ単体では単純な機械のようだが、集合すると知性を持っているかのごとく振る舞う(そして襲いかかる)。知性を持っているように見えれば、それは知性があると言ってよいか? 機械も知性を持ちうるのか? コンピュータとインターネットの発達した現代における知性とは何だろうか?2013/05/28

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