内容説明
超光速航法により銀河系へと進出した人類は、いま謎の異星人と交戦状態にあった。その正体は、いっさい不明。わずかな手がかりは探査隊が発見した、驚嘆すべき科学力で改造された惑星だけだった。奇妙な生態系を持ち、地球を含む近隣星系から何百万年も前に絶滅した動物が棲息するこの惑星こそ、敵が遺棄した植民惑星ではないかと考えた軍部は、謎を解明すべく、テレパシー能力を持つ天文学者ドーシー・ヨシダを派遣するが…。
著者等紹介
マコーリイ，ポール・Ｊ．［マコーリイ，ポールＪ．］［ＭｃＡｕｌｅｙ，Ｐａｕｌ Ｊ．］
１９５５年イングランド生まれ。セント・アンドルーズ大学で６年間植物学を教えた後、ロサンゼルスで研究生活を続ける。１９８８年に発表した『４０００億の星の群れ』は、デビュー作にもかかわらず高い評価を受け、フィリップ・Ｋ・ディック記念賞を受賞。つづいて発表した２長篇もアーサー・Ｃ．クラーク賞の候補となった。１９９５年に刊行した『フェアリイ・ランド』で、アーサー・Ｃ．クラーク賞とジョン・Ｗ．キャンベル記念賞を受賞。その後もつぎつぎに野心作を発表し、英国ＳＦ界を代表する作家として活躍を続けている
嶋田洋一［シマダヨウイチ］
１９５６年生、１９７９年静岡大学人文学部卒業、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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詩歌
13
ただ「敵」とだけ呼ばれる異星人と交戦中の人類。そんななか発見された、地球を含む近隣惑星系から何百万年も前に絶滅した動物が生息する改造惑星。その方舟にｴﾝﾊﾟｽの日本人ﾄﾞｰｼｰが謎を解明するために送り込まれ、食うにも困る大地でｻﾊﾞｲﾊﾞﾙ。日本文化が身に付いてるならそこは粥を食え！緑茶を出せ！鯨をやめて牛に代えるとかそんな日本人どこにいるのという肉食系白人が考える設定日本人。なのに最後は、それは日本人、という対話でした。ちぐはぐ。フィリップ･K･ディック記念賞のデビュー作。2016/02/17
ミツ
7
タイトルに惹かれて。Ｐ・Ｋ・ディック記念賞受賞作。遠未来、宇宙に進出した人類は正体不明の敵と交戦中であり、その正体を探るため主人公が未知の惑星に送りまれるというのが筋。謎の敵の正体を巡るミステリ要素、未知の惑星の生態系を丹念に描写したハードＳＦ要素、異星でのサバイバルと冒険、調査団や軍部内での駆け引きと勢力闘争、主人公ドーシー・ヨシダの悩み、詰め込みすぎてイマイチバランスが取れてない感もあり、中盤ダレる部分もあるが、展開の読めなさと終盤の謎がわかった後の「えぇ〜！？」感はある。それだけを楽しむ作品。良作。2011/08/17
ニミッツクラス
3
初マコーリイで05年の初版を読んだ。89年のディック記念賞を受賞。偶然かもしれないが、手放しで褒められるような内容でないところがディックっぽく思える。タイトル買い（カバーイラストの風潮には諦念もある）したけど、最後のツメまでが冗長な印象で天の川銀河の覇権がどうこう言う話ではなかった。概要にはハードSFとは書いてないが、超光速の相転移航法やサヴァイバルを左右する惑星プスルスンの直径や重力、大気成分に言及がないのも今一つ。主人公ヨシダのエンパス能力が謎を解明するものの、救いはないのかも知れない。★★★☆☆☆2013/01/05
オイコラ
2
途中のサバイバル行なんかは面白いんだけど。謎が明かされるラストがなんだかイマイチ。妹のエピソードが敵の行動原理を理解する伏線みたいなものになっているようだけど、そのエピソードが思わせぶりに引っ張った揚句、クライマックス直前に語られてしかもぴんとこない。ドーシーが周囲を拒絶するのはわかるが、普通ここは心を開くだろ、ってところをスルーしたのでただの怒りっぽく愚痴っぽい、偏屈な人みたいで残念。決して面白くないわけではないんだけどなあ。2014/07/25
Hepatica nobilis
2
外国人から見た日本人はすぐに座禅を組むし、客があると最初に味噌汁を振舞うらしい。それ以前に内容が退屈とは言わないけど、だれる。明解な｢謎解き｣もない。なのでこれが3部作の最初で、続編が訳されていないと知っても特には惜しくない。2011/11/27
