内容説明
エルフ、トロールなど仙境の民がいまだこの地上に住んでいたころ、イングランドの強者オルムに初の息子が生まれた。だがその赤ん坊は、ある夜エルフの大守に連れ去られ、華麗な魔法の国でやがて屈強な戦士へと成長していく…彼スカフロクと、オルムのもとに残された取り換え子ヴァルガルド、この重い宿命を背負った二人の対決は、ノルンの三女神の紡ぎだす生と死の糸をたどって、栄光と悲劇の一大英雄叙事詩を展開する。
著者等紹介
アンダースン,ポール[アンダースン,ポール][Anderson,Paul]
1926年ペンシルヴァニア州生まれの北欧系アメリカ人。ミネソタ大学で物理学を専攻。在学中からSFを書きはじめ、1947年に『アスタウンディング』誌でデビュー。科学者志望だったが、就職難のためプロ作家の道を選択。以来、五十数年にわたるキャリアの間に、『脳波』『タイム・パトロール』『百万年の絵』など60冊を超える長篇と多数の中・短篇を発表。ヒューゴー賞を7回、ネビュラ賞を3回受賞。ハードSFからスペース・オペラ、ユーモアSF、ファンタジイにいたるまで作風の幅広さには定評があった。2001年7月、死去。享年74歳
関口幸男[セキグチユキオ]
1935年生、広島大学教育学部卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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しろ
13
☆8『指輪物語』と同年に生み出された本格ハイファンタジー。『指輪物語』に勝るとも劣らない良作だった。ケルト的な雰囲気の色が強いこちらの方が個人的には好み。エルフに取り換え子として連れ去られたスカフロクと、代わりに人間として育てられた人間ではないヴァルガルドとの悲劇的で宿命的な闘いを描く。親殺しや近親相姦による罪など、神話的なテーマも取り入れつつ、オーディンやトールなども顔をだし、ラグナロクへと進んでいく世界観なのが素晴らしい。ヴァルガルドの破壊的な運命と、スカフロクの皮肉な運命が交差する瞬間は見物。2013/01/16
しまっち。
5
ホーカ・シリーズの人だったんだ。全然違う雰囲気でちょっとびっくり。ケルト神話はこれまで読んだファンタジーやマンガでいつの間にか知っていたところがあったので案外すっと読めた。ほぼ神話を読んでいる感じの中で、スカフロクとヴァルガルド、そしてフリーダの人間らしさが練りこまれていてさらにぐいぐい引き込まれてしまう。最後あっさり終わってしまうのがちょっと物足りないけれども。それでもとっても濃い一冊という感じである。2017/04/08
きなー
2
指輪物語と同年代のファンタジー小説。北欧神話、ケルト神話が物語に丁寧に織り込まれていて、そこに築かれた新たな神話にどんどん引きこまれて行きました。中心人物となる主人公と取り替え子のそれぞれの苦悩が描かれ、さらに物語を魅力的なものにしていました。2012/05/28
まうやお
1
出版された当時は北欧神話をほとんど知らず、混乱のまま読み終えたのですが、時代が流れて自然と関連した知識が頭に残っていて、今ならかなりの人が抵抗なく読めるのでは?2015/05/31
kottono
1
最初がすっごくとっつきにくい(舞台が日本じゃないし)けど、ファンタジーに入ってからはすらすら読める!北欧神話のモチーフがあちこちに散りばめてあるから、知ってる人ならニヤリとするはず。男性向け〜。近親相姦ネタが無理な人は読んではいけない。戦闘シーン面白い。因縁のライバル関係燃える。女の子可愛い。ただし、悲劇。2014/03/18