ハヤカワ文庫<br> クリプトノミコン〈3〉アレトゥサ

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ハヤカワ文庫
クリプトノミコン〈3〉アレトゥサ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 462p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150114046
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ローレンスがその存在を発見した新型暗号アレトゥサ。日独間の一部の通信文にしか出現しないこの特殊な暗号に歯がたたない情報部を尻目に、ローレンスは自ら考案した電子計算機を用いて解読に取りかかる。その半世紀後、親族会議出席のため帰郷したランディは、たまたま目にした祖父の遺品の中にアレトゥサの調査記録を発見する。謎めいた祖父ローレンスの業績を追い、ランディは歴史の闇に消えた事実を探りはじめたが…。ローカス賞受賞。

著者等紹介

中原尚哉[ナカハラナオヤ]
1964年生、1987年東京都立大学人文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

86
日本とドイツが使う暗号を追う祖父。そのことを孫が50年後に気付いた。物語が色々と交錯し始め、一気に面白さが増してきた。訳文にも慣れてきたし、本筋からそれる話はザザっと読んで、本筋の部分だけ追うように読む。とまらずに最終巻へ。2016/06/03

NAO

51
ようやく戦時中の話と孫世代の話がリンクしてきた。長かったなあ、もう少し簡潔にできたんじゃないか、というのが正直な気持ち。後藤伝吉パートが急に増えたが、日本軍はずいぶん大掛かりなことをしたわりに何の実りもなかったのだなあ。 2018/03/12

Pustota

8
バラバラだった要素の繋がりが見えてきて、自由で独立した暗号資産というアイディアも出てきた。しかしここに来て、ゆっくり進んでいく本筋とは別に、登場人物たちの(わりとしょうもない)思考のディテールが面白くなってきた。暗号とか論理回路とかのことばっかり考えていると、頭おかしくなると言わんばかりだ。2022/04/13

やすお

5
本書は四分冊の三冊目になる。長い物語なので中弛みを感じてしまうのは否めないが、それでも第二次世界大戦と現代とがリンクしてきて、最終巻の大団円に向かう準備ができてきた。また、現代のパートではビットコインを予言するかのような電子通貨が登場する。作品が書かれた頃は、電子マネーはあったと思うけれど、政府が信用を担保しない電子マネーは少なくとも一般的ではない。よくそんな時代に想像できたなと思う。暗号技術は電子マネーと関係が深いので、作者がよく調査した結果なのだろう。脇のエピソードであるが、個人的に最も驚いた部分だ。2016/11/06

roughfractus02

3
暗号アレトゥサが孫のランディによって祖父ローレンスの調査記録から見出される時、2つの世界の相関は時系列化し因果に変換される。この時読者はアレトゥサなる虚構の因子を歴史の一部と錯誤する。時系列化し、因果関係に世界を整除するのは歴史でなく、書物に収まる物語であり整然と連なる文字列なのだ。歴史は書物の法が作る仮説であり、新たな因子が混入すると歴史外の世界を仄めかす。アレトゥサが書物の法を露わにする際に読者が知るのは、ランディが追う祖父の業績が歴史から消えたという事実ではない。書物から消されたランダム性である。2018/07/26

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