内容説明
タイム・マシンで未来をめざした時間航行家は、最初の旅では見なかった驚くべき光景を目にした。地球の自転が操作され、四季の移り変わりや昼夜の変化までも失われ、さらには太陽にまで手が加えられている。そこは最初の旅で訪れたのとはまったく違う時間線の未来だったのだ!無限の時空をめぐる時間航行家の破天荒な冒険を描き、H・G・ウエルズの名作『タイム・マシン』の公認続篇として英米独の四賞を受賞した傑作。英国SF協会賞、ジョン・W・キャンベル記念賞、P・K・ディック賞、クルト・ラスヴィッツ賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
297
下巻に入って物語は大きな飛躍を見せる。時間、空間ともにこれほどに壮大なスケールで語られるのは他に類を求めるのが困難なほどだ。そうして一旦は宇宙創成にまで遡り、終盤で再び物語は個的な領域に還ってゆく。暁新世の世界にも未練を残しながら。本書がH・G・ウエルズの『タイムマシン』の真の続編であったこと、そしてプラトナーライトの秘密が明らかになる。そうだったのか、と思わず膝を打つ瞬間である。エピローグはなしに、「闇になかで」で終わっていても良かったようにも思う。いずれにしても、これならウエルズも満足だろう。2016/12/09
まふ
111
読後、思わずため息をついた。想いは深い。本作は単なるSFの領域を超えた人間のこれまでの「ありし姿」「ある姿」これからの「あるであろう姿」を「時間旅行」という形によって示そうとした稀有な物語である、と思う。とりわけ「人間の究極的な姿」を時間の経過とともに解析し、「骨と肉」からついに「意識」にまで突き詰めるのはすごい。細かいことを言えば「時間探索機」を手に入れたドイツがどうしてその後の世界に現れないのか等々は不明だが、そんなことはどうでもよい。⇒2024/09/27
扉のこちら側
82
2016年334冊め。【173-2/G1000】他作家の手によっていくつか書かれたウェルズの『タイム・マシン』の続編の中で、遺族公認の看板を掲げて、またその完成度の高さによって評価を得ている本作。なるほど、原作SFをうまく膨らませ、「戦争と平和」という不滅のテーマを盛り込んでいく手腕に脱帽。実はそれほどSF好きでもないのだけれどこれは楽しく読めた。2016/05/17
セウテス
60
今回たどり着いた未来は、前回とは全く違う未来であった。彼のちょっとした時間旅行は、ある一つの未来を無かった事とし、新しい未来が存在する世界へと変化させていた。物語は時空間の存在する意味、タイムパラドクス、そして世界の変化は彼だけがもたらした結果なのだろうか。一人がタイムマシンを造れたなら、他の誰かも時間旅行をしているのではないか。とてつもなく雄大な物語になったと、驚きと困惑に心が波打つ様だ。やがて彼はウィーナのいる未来に戻り、新しい結果を導こうとする。本来は二人の物語を期待していただけに、燻るものが残る。2016/12/10
たち
37
想像を越えるような未来と過去の物語に、段々付いて行けなくなりました。賢いネボジプフェルに比べ、この“ぼく”の何とアホなことか…。と思いましたが、心情的には私も“ぼく”に近いです。ラストにウエルズの『タイム・マシン』と話が融合するのが絶妙です。2019/12/19