内容説明
21世紀なかば、ナノテク技術の飛躍的発展と人格矯正の義務化によって、ついに人類は地球に疑似ユートピア社会を形成するにいたった。おりしもAI搭載の無人探査機が返送するアルファ・ケンタウリ探査報告に沸く巨大都市ロスエンジェルスで、ありうべからざる凶悪犯罪が発生した。高名な詩人が8人の弟子を惨殺、謎の失踪をとげたのだ。特命を受けたLA公安局生え抜きの女性捜査官、マリアは事件の捜査にのりだすが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カザリ
5
すごくおもしろくなりそうな要素目白押しなのだが、、、2014/02/01
roughfractus02
4
19世紀小説では意識を持つ主体が書物の作る線状的物語に沿って生き、そして死んで行った。この制約を駆使した探偵小説は、意識的主体の典型である探偵を事件と解決を因果関係で結ぶ書物の時空に解き放った。本書でも捜査官が8人の惨殺事件を追うが、書物なる紙製の物質に残る19世紀的記憶を期待する読者を裏切るように、3人の語りと因果関係の希薄な複数の物語が展開する。情報と物質の見分けがつかないナノテクと量子論をベースとし、21世紀半ばを舞台とした本書では、情報で構成された主体は心を作る多数のエージェントの一つにすぎない。2018/08/23
W.T.R.
2
上巻の段階ではまだ物語は大きく動かない。が、ナノテクが極度に発達した独特で濃密な世界、様々な登場人物も実に刺激的、いやが上にも期待は高まる!2013/10/29
ゲンショウ
2
グレッグベアって事で拝読。グレッグ版の叙事詩ものの最初の作品?と記憶しています。
マサトク
1
追悼読書。実は積読消化。四半世紀積んでいたのか。近未来、大量殺人を犯した詩人ゴールドスミス、捕えられた彼に潜脳しようとするマーティンとかつての恋人キャロル、ゴールドスミスを追う刑事マリア、殺人の発見者となった詩人リチャード、そしてアルファ・ケンタウリに到達したAIから数年の時を経て送られてくるメッセージ。いくつかの物語が並行して進むが、まだ有機的繋がりは見えてこない。〈巣宮〉と呼ばれるアーコロジーもかつてハイチだったと思しき新国家ヒスパニオラも魅力的な舞台。洗脳である「セラピー」が一般的なのも。面白い。2022/12/19