内容説明
シリコンバレーの大企業でロボット開発に携わるジャージーは、ひょんなことからサイバースペースで一匹の蟻を目撃した。どうやら会社が研究中の人工生命プログラムが、彼のマシンに迷いこんだらしい。だが自力で進化し増殖するこの蟻が、試作品のロボットを乗っ取って世界を覆う光ファイバー網に侵入してしまったために、思いもよらぬ騒動が…!高度な機械知性の誕生をポップな感覚で描き出す近未来コンピュータSF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
3
「技術は非思考である」(B・スティグレール)というが、技術が日常に溶け込むならなおさらそうだろう。VRがテーマの物語が頻出した1994年に出た本書に現在と変わらぬ状況を見出す読者なら、ムーアの法則に従って加速する技術と共にある自分を見出すはずだ。一方、作者のシリコンバレー時代をベースにしたトランスリアル小説であり、サイバー蟻を巡る仮想空間と妻と別居中にナンパし続ける現実を行き来する主人公の冒険物語である本書に90年代を思わせる雰囲気を感じるなら、読者は、物語と歴史が日常に溶け込まず書物に留まることを知る。2018/10/28
まうやお
2
細かい説明がありがたい。ウェストウェスト社で主人公がソフト開発する過程の描写がリアルです。井上夢人『パワー・オフ』の方が自分としてはしっくりします。2015/12/06
紙魚
0
パンク&ファンキーな内容だけど、人工知能に対する理解は非常に現実的(少なくとも現在の人工知能に対する期待よりは)。訳者あとがきのHacker/Crackerの違いについての釈明も、今となっては懐かしいばかり2017/03/09
ひめやさくら
0
前半はモラルの低いイカれたハッカーが、それ故に巻き込まれたトラブルって感じで話は進行。そして後半になってB級SFホラーテイストに転がりだし、おいおいどうなってくの、これ?と思って読んでゆくと、まぁ最後は落ち着くところに落ち着きましたね。ラッカー特有の要素は一通り揃ってるので、これを読んで拒否反応が出なければ(なにせ、結構下品なシチュとか使ってくるので、ここがダメな人はいるかと思う)、ウェアシリーズも十分読めるかも。2013/07/05
不以
0
蟻ロボに人生を台無しにされていく主人公が哀れ2012/05/05