内容説明
SF界のカルト・ヒーローが紡ぎだす、驚異の世界へようこそ。あやしげな慣性巻き取り機の作動で月と地球が激突の危機にさらされる「慣性」、ゲームおたくの情熱が恐るべき事態をまねく「パックマン」など、ラッカーの多彩な魅力を満喫できる作品群を結集。そのほか、サイバーパンクの旗手スターリングとの合作「クラゲが飛んだ日」、抱腹絶倒の日本旅行エッセイ2篇も織りまぜた、ファン必携の日本版オリジナル短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月世界旅行したい
15
ディッシュがラッカーの作品をほめているらしいのだけれど、なんとなく納得できる。2015/07/19
ニミッツクラス
11
95年の税抜641円の初版を読了。日本オリジナル短編集で、横山氏のカバーイラストは特徴的なアゴの形からラッカー本人だ。本国初出順の10編とスターリングとの合作1編、訪日時のエッセイ2編から成る。巻頭の「遠い目」と「自分を食べた男」「慣性」はフレッチャー&ハリイの連作物で良いチョイス。「宇宙の恍惚」は無重量下のSEXネタで、慣性と質量は残るのでやり難そうな行為…NASAはもう試しているのだろうね。オチはどうかな…熟して廃棄された経血中の卵子が受精可能だろうか…自分の人生でもそれは試した事がない。★★★★☆☆2019/02/23
roughfractus02
7
作者の奇想は笑いを伴う。M・ハーレーは笑いを、感覚記憶が短期記憶を省略して長期記憶に飛び移る動き(ヒューリスティクス)をパターン化し、バグとして除去する際の脳の報酬系機能であり、この機能が進化してヒトに三人称的認知をもたらしたと仮説する(『ヒトはなぜ笑うのか』)。とすれば、作者はSF世界を単にキテレツに描くのでなく、サイバーな現実を対象化して突き放す方法を示しているのかもしれない。日本独自の編集による本短編集では、IT技術の裏ワザ的なトタバタ短編の中に、自分の習慣を笑う作者の日本珍道中が差し挟まれている。2018/12/10
酔花
6
ギークな人物達が織りなすガジェット満載の短編集。飛び抜けた作品もなく、駄作もなく、平々凡々なSFが味わえる。作品自体よりは、ラッカーの目から見た日本旅行記のエッセイが楽しかった。2015/01/13
古家深一郎
3
正に奇想、奇想、奇想の博覧会。慣性消すって何よ、超ハードSFの切り札見たいジャン、それをよっぱいが人目を盗んで完成させちゃいました? しかもそれスルーして話進むし。解説にもあるとおり、ラッカーの科学技術の扱うセンスはやばすぎる携帯と同じ感覚で超技術を使いまくる。でもこれって、ちょっと昔の人からみれば現代は全部超技術ですると、じつはこれが正しい未来小説?2010/04/27