ハヤカワ文庫<br> ホワイト・ライト

ハヤカワ文庫
ホワイト・ライト

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 364p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150109721
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

いつもどおり、研究室で心地よい昼寝を楽しんでいた数学者のぼくに驚愕すべきことが起こった。なんと、無意識に幽体離脱をやってしまったのだ!肉体を離れて意識だけになったぼくは、一冊の案内書に導かれ、ヒルベルト空間を―。数学の概念が文字どおり実体化した奇妙奇天烈な世界を目指した…。“無限”の実像を探求するため。鬼才の名に値する真の鬼才が怒濤のアイデアでSFと数学の極北を探求する超絶マッドSF。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

106
数学の無限の概念を小説にした破天荒な小説。数学と聞いただけで逃げ出したくなる文系の私でも、楽しく読めた。主人公のぼくは冴えない数学者で、大学で講師の仕事をしている。妻との仲も良くない。そんな苦しい日々に幽体離脱してこの宇宙を飛び出し、絶対ゼロの白い光(ホワイト・ライト)が見える宇宙の果てまで旅をする。多分数学の知識があれば、もっと楽しめるのだと思う。それでも奇想天外なことが次々と起こるので、まるでジェットコースターに乗っているような心地で物語自体に浸れる。神秘的な無限の世界の一部を垣間見ることができた。2017/12/24

kokada_jnet

59
ユーモアSFかつハードSFという、私がSFに求める究極の作風の作家、それがルーディ・ラッカー。大森望さんが、編集者・翻訳家として策動して、ラッカーの作品のほとんどを翻訳・刊行してくれてありがたかったが。マニア向けの人気はあったのに。あまり売れなかったのか、刊行がその後、ずっととまって悲しい所。2022/04/14

猫丸

15
裏表紙の内容紹介は「マッドSF」と形容。ヒルベルトの第一問題をテーマにした数学小説であり、終始ハッパの煙たなびくドラッグ感覚あふれるヘンテコ小説。1992年発行を久々に再読した。数学小ネタは「ヒルベルトの無限ホテル」「バナッハ・タルスキの定理」「フラクタル図形」など。加算濃度と連続濃度の触覚に親しみがあると描写が生き生きと感じられるが、無限集合に不慣れな人だと生理的に受け付けない可能性がある。初読当時より数学に慣れてしまったせいか、驚きが減衰した気がする。イーガンと比べると古さを感じるのもある。2020/01/23

やすお

8
数学のSFということで、難しいかなと思ったが、想像よりはスラスラ読めた。物語としては、数学上の無限という概念を小説にしたもの。無限を見える化して読者に説明していると解釈してもいいかも。映像で見えるわけではないので、見える化といっても、そのイメージは読者に委ねられるのだが、なんとなく見えるというのが正確かもしれない。もちろん文字だからこそ表現できる無限という概念はあり、本をアレフ・ヌルページめくったとか、現実世界ではあり得ない行動ができるのも小説ならではだ。そんな数学独特の世界を描写する楽しい作品だった。2017/07/19

roughfractus02

6
田舎の数学講師が墓場で急に別世界に移動すると、アインシュタインやカントールやヒルベルトに出会い、宇宙の果てに旅してホワイトライトなる絶対ゼロの光を見る。この世界では無限をより大きくより小さくして多数化することが可能だ。そこでカントールの連続体問題を解決してしまう主人公の「~より・・・」なる論理は、数えられない無限ℵ1を数え上げるより大きな無限を仮説し、数学に馴染む読者の笑いを誘う。だが読後、巨大基数の公理では接近困難なこの問題に対して、本書が絶対的一者から無限を部分集合として捉える思考実験にも思えてくる。2018/10/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/438371
  • ご注意事項