ハヤカワ文庫<br> ソフトウェア

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ハヤカワ文庫
ソフトウェア

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  • サイズ 文庫判/ページ数 296p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150108403
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

明るい陽光、バームツリーと白い砂浜。隠退老人たちのリゾート天国、フロリダで余生を送る元天才ロボット学者のコッブは、自分とそっくりの男の訪問を受けた。月に行ってくれれば、代償に新たな肉体を提供するというのだ。月では、かつてコップに自意識を与えられ、人間に対して叛乱を起こしたロボットたちが、独自の都市を築いている。いぶかしく深いながらも招待に応じたコップは、いつしかロボット同士の大抗争にまきこまれてしまった!マッドSFの鬼才ラッカーが、奇想天外な大騒動をポップなタッチで描いたディック記念賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Aya Murakami

106
われはロボットの解説で紹介されてアマゾンで注文した本。 なるほど…、作中に2~3か所アシモフの3原則に言及している箇所がありました。間違いなくアシモフを意識した作品でした。 そして、主な内容は人間の脳(というより意識とか魂とか)を機械に置き換えたうえでマシンがそれを収奪していく話。ロボットの魂のジャスペロダスの製作者が危惧したことがついに現実になった話ともいえます。魂泥棒や人形遣いなマシン以上に食物ユニットとやらにため込んだ食物をトイレに流すシーンに嫌悪感が…。この辺国民性でしょうか?2018/08/31

ねりわさび

84
PKディック記念賞受賞作。人間と人造人間の存在としての境界が薄れた未来世界を描くSFマッドワールド小説。魂をソフトウェアと定義してストーリーが進むのですが展開が電光石火のように速すぎ、気合を入れて読まないと物語が掴みにくい。黒丸尚の翻訳は個人的に高評価しているのですが、苦手な読者もいるかもしれません。80年代サイバーパンクの始祖のひとつとして作品価値はあると思います。面白かったですね。2023/12/23

催涙雨

49
「コッブ・アンダスンの頭脳は切開されてしまったけれど、その精神を形成していたソフトウェアは保存されている。“自己”という概念は、しょせんひとつの概念にすぎず、ソフトウェアの中のシンボルなのだ。コッブはこれまでとまったく同じに自己だと感じる。それに、これまでとまったく同じに、自己がハードウェアに載って存在しつづけてほしいと思う」完結編が今後永遠に出版されそうもないので積みっぱなしにしていたけど、いい加減読むことにした。魂・精神活動をソフトウェアと定義してハードウェアとなる機械ボディに入れ替える設定は今となっ2020/02/29

かとめくん

19
多分、当時としては最先端な面白さを感じたかもしれないが、時間は無情だ。主題も古臭ささが抜けないし、ガジェットも一様に手垢のついたものばかり。その分、物語の展開が手に汗握るかといえばそうでもなく、特にコンピューターが人の思考をデータ化して集めたがる理由にもう一工夫ほしかったかなあ。まあ、当時のコンピューターの認識や技術に思いをはせられるのが良い点かな。あと、横山えいじさんの表紙絵は好きだな。2023/07/31

サイバーパンツ

18
人間の精神をソフトウェアに置き換えるとか、意識や実在の意味を問うみたいなテーマには流石に時代を感じる。変な話の割に前半は退屈だし、サイバーパンクとしては凡庸だが、スラップスティックな展開の中で思弁的な会話が繰り広げられる終盤のゴチャゴチャ感は面白い。解説にある通り随所からディックっぽさも感じられる。サイバーパンクの古典として読む必要はあまりないと思うが、『ニューロマンサー』ではひたすら読みにくいだけの黒丸文体も本作では軽妙な語り口で楽しく読めるし、軽く読むなら充分面白いと思う。2018/06/05

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