ハヤカワ文庫
重力が衰えるとき

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  • サイズ 文庫判/ページ数 435p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150108366
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

おれの名はマリード。アラブの犯罪都市ブーダイーンの一匹狼。小づかい稼ぎに探偵仕事も引きうける。今日もロシア人の男から、行方不明の息子を捜せという依頼。それなのに、依頼人が目の前で撃ち殺されちまった!おまけになじみの性転換娼婦の失踪をきっかけに、血まなぐさい風が吹いてきた。街の秩序を脅かす犯人をつかまえなければ、おれも死人の仲間入りか。顔役に命じられて調査に乗りだしたものの、脳みそを改造した敵は、あっさりしっぽを出しちゃくれない。…実力派作家が近未来イスラーム世界を舞台に描く電脳ハードボイルドSF。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

84
十数年ぶりの再読。一時は入手が難しかったが再刊に驚く。22世紀のアラブ。主人公は一般的になった補助電脳手術も無しで探偵の仕事をこなしていた。薬物の過剰摂取が玉の傷だが評判は良かった。行方不明の子を探す依頼を受けた彼だが、依頼主のロシア人はその場で殺されてしまう…… 背徳の限りのアラブの犯罪都市を舞台にしたハードボイルドSF(1987)で設定と描写に圧倒される。丁寧さがくどすぎるように感じたが、後半になりページを捲る速度が早くなった。なかなか満足できる読書だった。良書。2018/10/11

*maru*

49
ロシアやアメリカが分裂し衰退した世界。舞台はアラブの近未来犯罪都市ブーダイーン。この街で暮らす探偵マリードの目の前で、依頼人が殺害されるシーンが物語の幕開けとなる。ハードボイルド調の語り口に、サイバーパンクやノワール、スリラーといった味付けが絶妙の本書。多くのカスタムされた人間の中で、これまで誰の庇護も受けず、薬漬けながらもオリジナルを貫いてきた主人公が直面する真の絶望。ラストは想定内ながら、やはりどうしてこうなったと思わずにはいられない。まさに「なんてこった」の心境だが、とても面白かった。2019/11/14

hit4papa

49
22世紀のアラブ 暗黒街を舞台にしたハードボイルドSFです。暗黒街のボスキャラの支配に翳りが見えてを、重力が衰えてと表現しているので、タイトルから想像するようなスペースオペラ的なものではありません。どん底探偵が街の権力者の依頼で連続殺人犯を追うという展開で、それなりにオッとなります。しかし、男女の性の転換が盛んであるとか、外部デバイスで人格を変える事ができるとか、世界観は今となっては古く感じます。アラブの風習を上手く取り入れて、どんより感を醸し出していんるのですが、そこはサイバーパンクらしくはありますか。2018/04/21

goro@80.7

37
いつの日かこんな人格モジュールを脳に付けて暮らす日々が来るのか!?俺は現代で良かったとは思うが、誰しも別人格になれたらと思う事もあるわなぁ~。人格モジュールはともかくとして性が入り乱れてくる世界は近いか。読み易いサイバーパンクでありました。もう少しミステリーの要素があればこの世界観に箔が付いたと思う。首筋に手を遣りソケットが無い事に安心しております。この後に攻殻機動隊がくるのかな?2016/02/17

kochi

18
共産主義も民主主義も崩壊して歴史を何十年も後戻りしたような未来、とあるムスリムの闇社会で起こる猟奇的な連続殺人。何でも屋的な稼業でしぶとく生きるマリードは事件に巻き込まれ、身体を張って殺人犯に臨む… 脳に「配線」することで、別人格を付与したり、語学など様々な知識を一時的に持つことができたり、性転換可能というテクノロジーは進んでいる未来世界を舞台にしたサイバーパンクハードボイルド。自身の電脳化に対する逡巡や主人公のヒーローとしての人物造形にエンタメらしからぬ(失礼!)屈折があって、一昔前の時代を感じるかも。2023/01/22

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