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ハヤカワ文庫
モンキー・ハウスへようこそ〈1〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 273p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150108120
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

日に三回の道義避妊ピルの服用、そして街角には自殺ホーム―人口過剰の未来社会でとられた政策は、セックスの禁止と自殺の奨励だった。だが、性の解放を謳う反逆者が、一人また一人と現われる…。表題作はじめ、役を演じるたびにその人物になりきってしまうアマチュア役者ハリーと、かれに恋する女性ヘリーンとの一風変わったラブ・ロマンス「こんどはだれに?」、十六人の生命を賭けて共産ゲリラの隊長とチェスをさすアメリカ人大佐の苦悩を描く「王様の馬がみんな…」など、ヴォネガットの多彩な魅力を結集した傑作短篇集、待望の文庫化。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

8
長い間信じられてきた悲劇やロマンスの定型的物語を崩すのは、長い間定型を崩す役割を果たしてきた喜劇だろう。作者初の短編集である本書では、定型を崩し、物語を逸脱させ、寓意によって読者をハッとさせる試みが12編にぎっしり詰まっている。ハートフルな物語は逸脱を始め、役に入り込む俳優との恋愛は女性の決意によって物語の方向を変える。そして、チェスのコマとなった人間、有り余るほどの財産、人口過剰で自殺を促す未来社会は、そのプロットの極端さによって、短期的欲望を煽る資本主義社会に生きる読者が向かう未来を寓意的に風刺する。2023/06/24

りん

8
ストレートなラブストーリーもヴォネガットのシニカルなひねりがあると面白く読めた。それはともかくヴォネガットが絶版になるのは理解できない。2017/10/01

明石

7
ヴォネガットがまだジュニアだった頃の(初期)短編作品集。個人的にこの人の小説はデビュー当時の方が好きなのですが、この短編集はまさに粒揃い、というか傑作揃い。クスクス笑えるネタが詰まっていて、とくに表題作の『モンキーハウスへようこそ』はお腹が捩れるほど笑った。ヴォネガットの小説は上手いとか面白いとか以前に、底抜けに可笑しくて読んでて楽しいものだということを思い出させてくれた名作。そして50~60年代の頃からこの作家の作風には政治やら科学やらに対する風刺がぴりりと効いていて後味鋭く、どの作品も読み応えがある。2021/12/22

bouhito

6
奇想天外に奇想天外を重ねていく長編に比べ、短編集はユーモアやアイロニーそのままで物語としては万人向けだと思う。「となりの部屋」は村上春樹のデビュー作のネタ元となっただろうDJが出てくるが、Oヘンリーならハッピーエンドで終わらせそうなところを、ヴォネガットは思わぬ方向にひねくれていく。それでも、単なる悲観主義に陥らないのは、「夢の家」のように奇人変人(それは人類すべてのことだ!)に優しいまなざしを注ぐヴォネガットの愛が全編を貫いているからかもしれない。2015/10/21

peeping hole

4
もはや古典的なはずなのにこうなるの?なひねくれポップ感。初期村上春樹から即これにたどり着きたかった。浅倉久志ってもっと硬くて意味不明な翻訳の人かと思った。読んでた作品が悪いか。ヴォネガット全部読む。2021/02/17

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