ハヤカワ文庫<br> 神々自身

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ハヤカワ文庫
神々自身

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  • サイズ 文庫判/ページ数 432p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150106652
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

西暦2070年。研究室の試薬ビンを手にした化学者フレデリック・ハラムは驚愕した。タングステンが入っているはずのそのビンには、我々の宇宙には存在しないプルトニウム186が入っていたのだ! それは〈平行宇宙〉からタングステンとの交換に送られてきたらしい―〈平行宇宙〉ではタングステン186が、我々の宇宙ではプルトニウム186が無公害でコストゼロのエネルギー源となる。かくて〈平行宇宙〉とのエネルギー源の交換がエレクトロン・ポンプを通して行なわれることとなった。だが、この取引きには恐るべき罠が隠されていた!米SF界の巨匠が満を持して放つ最高傑作

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

201
なんでもっと有名で無いんだろう。復刊しないのかな?図書館で借りた。とにかく面白い。物理定数の少し違う並行宇宙との物質交換。これこそSFの醍醐味だ。でも70年代初頭の作品と感じさせない新しさを感じる。同時に古き良きのどかなSFの世界観も感じる。自分だっららどう描写しただろうと考えるのも楽しい。最近の超ひも理論や量子物理などを駆使すると途中の説明は少し違ったものにも出来たかもしれない。とにかくいろいろ空想させてくれる良書だ。異宇宙人の描写も面白い。良い意味でアシモフらしくない。2017/02/02

geshi

32
2つの平行世界が繋がったことで起こる互換エネルギーシステムとその陥穽のアイデアが面白い。基本的に二者間の会話で話が進むから人間関係がシンプルで、身構えていたより難解さは感じなかった。第一部の危機が目に見える形を持たないと問題解決に向けて誰も動かないというのはよくある話。第二部はイメージが奔流するパラ宇宙の三つの性。ジェンダー論にも通じるそれぞれの役割と”自分らしさ”。第三部ではビックバンまで持ち出して解決策を提示するSFマインドにあふれている。でも、これで解決だとパラ宇宙の事は無視なの?2017/08/20

白義

20
二つの平行宇宙を使った無尽蔵エネルギーシステムの巧妙さとそこから生まれる危機、科学と人間のエゴをめぐるアポリアへの切り込みはさすがのアシモフ。ところが本作はそれに留まらず、アシモフがこれまでほぼ描かなかった異生命とセックスという二大要素にも挑戦している。三体一組のパラ宇宙生命体の性を主軸に据えた第二部は、これだけで美しく奇想に溢れた幻想SF中編として独立して読める完成度。さらに、三部で見事にオチを付け、さらに宇宙創成の謎にも作品内の科学理論だけでついでに答えを出してしまうのだから驚き2014/10/01

roughfractus02

13
エネルギー危機にある1970年代に書かれた本書は、並行宇宙での無尽蔵エネルギーの発見、現宇宙での技術的転用に関する政治(第1部)、物理法則が異なる並行宇宙にある惑星の硬族と軟族、後者の分子レベルの生殖から社会に至る描写と、現宇宙への新エネルギー移送(第2部)、そして現宇宙にある地球が危機に陥った後の月での生活(第3部)からなる。この過程で新エネルギーの消費が宇宙自体の危機を惹起する予測が示されて両宇宙の交流が始まる。興味深かったのは両宇宙の発生を促す知的で次元に優劣差のない神の存在が推論される場面だった。2023/07/20

かやは

12
「愚昧を敵としては、神々自身の闘いも虚しい」という言葉をテーマにしたSF作品。愚昧とは「自分の信条によって真実はかくあるべしと決め込んでいる」者のこと。真実より信条が先んじて存在していると思い込んでいる者のこと。「問題を解決するもっとも簡単な方法は、問題の存在を否定すること。」実際にありふれている対処法だろう。人間的な虚栄心についてや、未来に起こるであろう厄災を証明することの難しさが描かれている。 2019/02/16

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