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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
351
解説によれば、本書が書かれたのは1942年から49年にかけてのことであるらしい。SF史に燦然と輝く歴史的価値は大いにあるだろう。ただ、全体の古めかしさもまた否めない事実である。まず「銀河帝国」という枠組みと発想そのものの持つ大時代性にはやや閉口する。これがギボンの『ローマ帝国衰亡史』を下敷きにしていることもわかるし、壮大な時間と歴史観を有することもわかる。その一方で、「原子力」に対する価値観や、マチズモといっていいくらいの男の世界(それを象徴的に示すのが喫煙だ)に、小説としての限界をも感じてしまうのだ。2016/05/06
遥かなる想い
188
アシモフが奏でる壮大な宇宙の物語である。 第一銀河帝国の滅亡をめぐる物語… 心理歴史学者 ハリ・セルダンの存在感が 際立つ。1951年に出版されたこの本… 宇宙が遠かった時代の 宇宙への想いの ようなものが 活写されている気がする作品だった。 2018/04/03
ヴェルナーの日記
153
ついに手にしてしまった。アシモフのファウンデーション・シリーズ。彼が手掛けた作品は7作。本作は銀河帝国興亡史〈1〉になっているが、物語は、『6.ファウンデーションへの序曲』→『7.ファウンデーションの誕生』→『1.ファウンデーション』→『2.ファウンデーション対帝国』→『3.第二ファウンデーション』→『4.ファウンデーションの彼方へ』→『5.ファウンデーションと地球』が時系列になる。また、「トランターもの」と呼ばれる3作(宇宙の小石・暗黒星雲の彼方に・宇宙気流)はファウンデーション・シリーズの前史になる。2016/08/17
ケイ
142
「ファウンデーション三部作」の最初に書かれたのが本著。1940年台前半に書き始められていたとは信じられない。キーは原子力や近未来的技術ではない。これは、アシモフの「ファウンデーション構想」なのだと思う。ポスト宗教、ポスト金権力のあとの、国家に対するものとしてのファウンデーション。どこかで、オーウェルとかコンラッドの描く異国を読んでいるようだった。権力を持とうとする者たちの策略。舞台がスペースなだけだ。流石の超大作。二部も手に入れなくては。2017/05/23
まふ
110
宇宙モノに疎いため、終始場違いのヨソモノ感覚で読んだ。数万年後の未来の銀河帝国とファウンデーションの生成過程の軋轢の物語。ファウンデーションの祖ハリ・セルダンが提唱する「心理歴史学」なるものが面白そうだ。数百億に及ぶ人間の行動を分子行動力学的原理で推定するのがこの理論らしい。これを応用すれば今日のロシアをはじめとする独裁者の生成過程も少しは読めるのではないか、などと思った。時代、場所、舞台、大道具、小道具は変わっても人間の心理や行動などは変わらない、ということも重要なポイントではなかろうか。G1000。2023/08/19