ハヤカワ文庫<br> ハイーライズ

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ハヤカワ文庫
ハイーライズ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 242p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150103774
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rinakko

9
久々にバラード。すこぶる怖い話だが面白い。どこまで堕ちていくのか…目を離せなかったのと、何がどう治まって(?)冒頭の場面に繋がるのかが気になりぐんぐん読んだ。40階建て高層住宅全体が、夜毎階級毎にパーティ狂騒。あれよあれよと暴力が蔓延りエスカレートしていき、住人たちの生活が荒廃し人がましさも失われていくにつれ、最悪の事態をどこかで期待するようなわくわくとした高揚感に捕らわれた人々の姿が印象的だった。理性を麻痺させることへの淫靡な悦びが伝わってきて、心底慄いた。(怖いけれど映画は観たいなぁ…)2015/05/20

Masa

8
読了。読み終えて真っ先に思い出したのは、子どものころ、村から街に出てきて始めてみた高層マンション。すごいな、カッコいいな、こんなところに住んでみたいなと思った。それ以降、マンションに住んだことはないのだけど、住んだことのある人はこの本を読んでどう思うのかなぁ、と。極限まで追い詰められての結果とはいえ、随所ずいしょに近しい感覚を覚えるのだろうか。マンションに住んだことがあれば読後感は違っていたのかも。あまり好みの物語ではなかったので、名作を読みました、というところですが面白かったことに間違いはなし。2019/08/06

gu

8
バラードの長篇をこんなにすらすら読めるとは思わなかった。登場人物が常に行動的で、また行動の目的や彼らが変質していく原因が筋道立てて語られているからか。とはいえ、血まみれの屋上庭園のイメージや、「市街地のふぞろいなスカイラインは、治療法のない重症脳障害の乱れた脳写図にも似ていた」といった独特の比喩等、細部に目を向ければ間違いなくバラードの作品だとわかる。外界の環境と人間の精神が反射しあって互いを変えていく、その症例の一つとして読んだ。(『結晶世界』辺りだとそれがまだ一方通行のように感じる)2013/07/24

マンハッタン距離

6
[3.9] 読む前に想像していたよりもかなり速く住民の退行が進んでいく。外界から切り離された空間で秩序が崩れ、狂乱を経て、そのものが一個の生命体であるかのような新たな秩序が築かれるというのは分からないでもない。しかし、最初の数章で描かれるはずの狂乱が生まれる部分について説得力がなかったので、ノリきれなかったというのが正直なところである。それが却って現実味があるということなのかもしれないが、昏い欲望をくすぐってくれることを期待していたのでやや拍子抜け。2016/06/08

スターライト

6
40階建て、千世帯の住人が住む高層住宅が舞台。様々な職業を持つ彼らが、ある日、敵対することになる。徐々に階層ごとにグループ化するが、やがてそのグループも瓦解し、それぞれが反目しあっていく。秩序が喪失していく中、彼らの衛生観念も失われていき、高層住宅は荒廃していく。あたかも、現代人の精神状態を反映しているかのように…。上層階に住むロイヤル、中層階のラング、下層階のワイルダーを視点人物に語られるストーリーは、それぞれの階層の住人をうまくとらえて秀逸。人々が狂気に陥る様も迫真に迫っていて、不気味。2011/07/19

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